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『エッフェル塔~創造者の愛~』マルタン・ブルブロン監督 人間のエモーションがないと映画は成立しない【Director’s Interview Vol.291】

『エッフェル塔~創造者の愛~』マルタン・ブルブロン監督 人間のエモーションがないと映画は成立しない【Director’s Interview Vol.291】

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19世紀末のフランス、エッフェル塔建設という難題に立ち向かったギュスターヴ・エッフェル。彼の偉業の裏には、隠された愛の物語があったーー。巨大建造物建設というスペクタクルと許されぬ恋を描く大河ロマン。フランスでは珍しいジャンルだが、ハリウッド大作とは一味違うフランス映画ならではのテイストに仕上がっている。


監督のマルタン・ブルブロンはいかにして本作を作り上げたのか、昨年のフランス映画祭で来日した監督に直接話を伺った。



『エッフェル塔~創造者の愛~』あらすじ

アメリカの自由の女神像の完成に協力したことで名声を獲得したギュスターヴ・エッフェルは、「パリ万国博覧会」のシンボルモニュメントの制作を政府から依頼される。だが、倒壊を恐れる住民や景観破壊を主張する芸術家たちが反対運動を巻き起こし、建造は中止になってしまう。栄光の頂点から絶望へと突き落とされたエッフェルの前に、かつて激しい恋の果てに彼の元を去ったアドリエンヌが現れる──。


Index


全てをCGにはしない



Q:個人的な思いと国家的建造物を作る大プロジェクトが、時代を交錯させ見事に絡みあっています。この構成はどのように作られたのでしょうか。


ブルブロン:今回の映画の難しかった点は、たくさんのストーリーが平行して進んでいること。現在(エッフェル塔建設当初)と過去、そして建設の進行の3つが柱になっていますが、これらを平行させつつ、冗長にさせない必要があった。そのため“映画のリズム”が非常に大切でした。撮影段階からもそれを意識していましたし、そのリズムをいかに崩さずに編集するか、そこが肝でした。


Q:編集段階で脚本からの変更はあったのでしょうか。


ブルブロン:脚本に書かれていた順番は編集でかなり変えています。過去のフラッシュバックをどこに入れたらうまく溶け込むか、試行錯誤を重ねました。編集作業は時間がかかりましたね。


『エッフェル塔~創造者の愛~』© 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films


Q:ダイナミックなプロジェクトを描きつつも、まるで絵画のように繊細な風景に目を奪われます。CGも活用されていますが、撮影はどのように進められたのでしょうか。


ブルブロン:建設風景を再現するためにはCGを使わざるを得なかったのですが、俳優が自然に演技をするために、“全てをCGにはしない”ことをルールにしました。撮影現場の一部には本物のセットを組み、それを補完させるものとしてCGを使用しています。結果、自然に馴染ませることが出来ました。リアルとCGのバランスは重要でしたね。


Q:窓から差し込む光など、部屋の様子はまるで当時描かれた絵画のようです。現場のライティングなど撮影はいかがでしたか。


ブルブロン:今回の撮影は、マティアス・ブカールという、世界で様々なCMを手がけているカメラマンが担当してくれました。その彼と一緒に、19世紀の絵画的な雰囲気を正確に表現すべく、作り込みにはかなりこだわりました。結果、当時の美しいイメージを保ちつつ、現代的な雰囲気も出すことに成功しました。撮影、美術、衣装と協力して作り上げた結果ですね。





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