二極化してきた日本映画
Q:日本映画への出資に対するリターンに手応えは感じていますか。
金:全然感じていません。もちろん作品によって違いはありますが、日本映画が産業として大きくなっていくのは今の状況では厳しいと思います。一方で、日本には魅力的な原作がいっぱいあるので、そういう作品はよりヒットする傾向が強くなっていると思います。
Q:それは今世界でもヒットしている『THE FIRST SLAM DUNK』(22)や『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(23)などですね。
金:人気の原作を、映画という媒体でよりブレイクさせることは大事ですが、ヒットするのはそれ一択という状況。色んな作品があっての映画文化なのに、一択文化になってしまうのは非常に勿体ないと思います。僕は20年前まで韓国で暮らしていて、日本の映画やサブカル文化にとても興味がありました。それもあって日本に来たのですが、いつのまにか韓国の方がすごいクオリティの作品をグローバル展開するようになった。そこの悔しさもあり、日本の映画産業に少しでも関わり、盛り上げていきたいと思っています。意地でやっている部分もありますかね(笑)。
『Winny』金山プロデューサー
Q:映画出資事業に参画してから今日まで、日本人の映画への興味や趣向は変わったと感じますか。
金:大衆向けとシネフィル向けで二極化してきている感じでしょうか。昔はその間の作品が厚かったのですが、そこが弱くなっている気がします。趣味や趣向が変わったというよりは時間を含めて損したくない感覚が強くなっている感じがしますね。どの作品を観るかを慎重に選んでいるのではないでしょうか。