『シン・仮面ライダー』あらすじ
1971年から放送された石ノ森章太郎原作の『仮面ライダー』シリーズ誕生50周年プロジェクトとして製作されたオリジナル作品。秘密結社SHOCKERと対峙する仮面ライダーの新たな物語を描くアクション・アドベンチャー。
Index
- 2016年に構想、劇場公開10日前に完成
- 「仮面ライダー」を現代に置き換えた作品
- 絶対悪ではないSHOCKERの存在
- 暴力による解決の是非を問う描写の数々
- 「仮面」が象徴するもの
- 現代のヒーローものとの関連性
- 敵の死を「悼む」「弔う」描写の重要性
- エネルギー問題に対するまなざし
2016年に構想、劇場公開10日前に完成
「遂に完成した」――。その報告が一大ニュースになるほどの話題作『シン・仮面ライダー』。庵野秀明が脚本・監督を手掛けた本作は、劇場公開日の約10日前となる2023年3月7日に完成報告&関係者に向けた初号試写が行われ、3月12日に招待制のプレミア上映会が開催された。TOHOシネマズ六本木のスクリーン×2を貸し切って行われたプレミアには人々が詰めかけ、上映は約20分押し。本作の注目度と熱気を証明する場ともなった。
この時点で封切まで1週間を切っている異例のスケジュールであり、ギリギリまで仕上げの作業を行っていたことがうかがえる。ちなみに、プレミアの場で本作のプロデューサーである紀伊宗之が語ったことによると、追加撮影は2023年1月4日まで続いたとのこと。思えば、公開に先んじて池松壮亮ら出演者にインタビューした際に「まだ撮っています」と語っていた。プロモーション期間中に作品が未完成であることはままあるが、撮影中というのは稀であろう。
では、『シン・仮面ライダー』の制作期間が短かったのか?といわれると、そうではない。企画の発端は、2016年。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(12)で組んだ紀伊プロデューサーに庵野監督が渡したメモだったという。その後、本作が動き出したのは2017年の後半で、庵野監督がプロットを准監督の尾上克郎に渡したのが2018年の年明け。コロナ禍による遅延はあるものの、約7年の歳月をかけて完成した作品なのだ。
『シン・仮面ライダー』公開に寄せた庵野監督のコメント(Twitter)
公の場で本作の制作が発表されたのは、2021年4月3日に開催された「仮面ライダー生誕50周年企画発表会見」。続く9月30日の「シン・仮面ライダー対庵野秀明展」合同記者会見で、主人公の本郷猛/仮面ライダーを池松壮亮、緑川ルリ子を浜辺美波が演じることが発表された。そして2022年1月1日に、一文字隼人/仮面ライダー第2号役の柄本佑の出演が解禁。特報は2022年5月、予告が2023年2月に発表され、西野七瀬、塚本晋也、手塚とおる、松尾スズキ、森山未來といったキャストの出演が明らかになっていった。
公開まで(公開後も!)ストーリーの詳細が明かされない等、徹底した情報秘匿が行われている『シン・仮面ライダー』。本稿では、可能な限りネタバレを行わない形で本作の概要と特徴について語っていきたい。