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『シン・仮面ライダー』が纏う現代性。善悪・暴力・動力へのまなざし

『シン・仮面ライダー』が纏う現代性。善悪・暴力・動力へのまなざし

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「仮面ライダー」を現代に置き換えた作品



 『シン・仮面ライダー』はいうまでもなく「仮面ライダー」を下敷きにした作品だが、ここでいう「仮面ライダー」とは石ノ森章太郎による漫画とテレビ番組(71~73年版)のこと。


 1960年生まれの庵野監督は「仮面ライダー」のリアルタイム世代であり、高校在学中の1978年には自主制作映画『ナカムライダー』を手掛けるなど、筋金入りのファン。制作に際して「50年前、当時の小学生男子のほとんどが仮面ライダーという等身大ヒーローに憧れ熱中しました。自分もその一人でした。50年前にテレビ番組から受けた多大な恩恵を、50年後に映画作品という形で少しでも恩返しをしたいという想いから本企画を始めました」とコメントを寄せている。


 この言葉からも“原典”への強いリスペクトがうかがえるが、『シン・仮面ライダー』はいわゆるリメイクではない。「仮面ライダー」を出発点とした新たなる物語であり、重なる部分はもちろんあるものの庵野監督の“らしさ”、そして現代的なテーマやメッセージ、要素を内包したヒーロー映画に仕上がっている。


 先の発言に続き、庵野監督はこう語っている。「本企画は、子供の頃から続いている大人の夢を叶える作品を、大人になっても心に遺る子供の夢を描く作品を、石ノ森章太郎先生と東映生田スタジオが描いていたエポックメイキングな仮面の世界を現代に置き換えた作品を、そして、オリジナル映像を知らなくても楽しめるエンターテインメント作品を、目指し、頑張ります」。


 先人に敬意をはらいつつ、新味をいかに加えていくか。その部分から浮かび上がるのは『シン・仮面ライダー』の“いま”という時代や社会に対するまなざし。いわば作品の核であり“心”ともいえ、本作の独自性につながっていく。


 その部分を解明するためにも、まずは漫画「仮面ライダー」がそもそもどんな物語なのか?を紹介したい。こちらは、人類の支配をたくらむ悪の組織ショッカーによって超人に改造された本郷猛が「仮面ライダー」と名乗り、かれらの野望を打ち砕くために立ち上がる物語。本郷は人類の平和を願い、ショッカー製の怪人たちと死闘を繰り広げていく。『シン・仮面ライダー』も物語の大枠は同じだが、細部は大きく異なっている。


 ここからは「善悪」「暴力」「動力」の3点を中心に、本作のオリジナリティを紐解いていきたい。




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