日本の映像業界のシステムに乗っていると世界を目指せない
Q:いま佐藤さんから映画・映像業界の話がありましたが、おふたりは業界の問題点・改善点・希望等を今現在どのように見ていらっしゃいますか?
山田:藤井道人とBABEL LABELを10年ほどやってきて「日本の映像業界のシステムに乗っていると世界を目指せない」と思い、藤井と話したうえで藤田晋(サイバーエージェント代表取締役社長)さんに話をしに行きました。2年前くらいのことです。
そこから具体的に世界に向けたロードマップが動き出しましたが、藤田社長からは「BABEL LABELが韓国や世界基準の作品を作るには、それ相応の予算を作品に費やしてクリエイティブを高めて、その周りをサイバーエージェントグループがしっかりビジネスとして回していける仕組みを作る必要がある。それができればクリエイターたちにちゃんとお金が回り、いい作品を継続的に生み出せる。そこをサポートできるように、人材の補填も含めた体制づくりのサポートを行いたいので、頑張って下さい。良いクリエイターが集まってくる環境を作って下さい」とお話しいただいています。
その一環でウチを担当してくれているのが、山内隆裕さん率いるCyberZです。佐藤さんがCyberZ所属なのも、そういう座組ですね。
そのうえで「これからの日本の映像業界」についてですが、まず僕たちは制作会社からコンテンツスタジオへと変わろうとしています。従来の国内では、予算が決まっていてその中でどう工夫するかが制作会社に求められていました。でもこれからは日本のマーケットだけでなく世界基準で考えて、「これぐらいの予算をかけたらこんな絵が描ける」であったり、ポテンシャルを見せていくことが我々の課題だと感じています。
クリエイティブを上げつつ、ビジネスとしても成立させる努力をしていかないといけない。その一環として、Webtoon(韓国で盛んなWEB漫画。縦読み・オールカラーが特徴)の開発を行ったり、原作づくりをしていく必要があると思っています。
Q:IP(知的財産)の話に通じますが、作品を「受ける」だけでなく「保有する」、つまりコンテンツホルダーになっていくというお話ですね。佐藤さんはいかがですか?
佐藤:ギャガのときもNetflixのときも感じていましたが、フランチャイズを持つのはとても強いですよね。もちろんBABEL LABELでフランチャイズを作ろうという話ではないのですが、ひとつわかりやすいものができるとそこから派生したビジネスや機会もどんどん広がっていきますから。この作品が一個できた、良かった、というだけじゃないところを見ていきたいとは思っています。