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『ヴィレッジ』藤井道人監督が帰着した映画の原点、未来への危機感【Director’s Interview Vol.307】

『ヴィレッジ』藤井道人監督が帰着した映画の原点、未来への危機感【Director’s Interview Vol.307】

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日本はエンターテインメントに新人の監督が流れてこない



Q:個人的な肌感ですが、アジア圏で「田舎をカッコよく撮る」クリエイターがどんどん増えてきたような気がしていて。『ヴィレッジ』もその系譜にある作品といえるのかなとは感じています。


藤井:アジアだと村モノはすぐホラーになりがちな部分はありますが(笑)、台湾や韓国の映画人と密にコミュニケーションを取っていると、向こうの監督は若いなと思います。韓国版の『スマホを落としただけなのに』の演出がお洒落だなと思っていたのですが、キム・テジュン監督は初監督作なんですよね。驚きました。日本はエンターテインメントに新人の監督が流れてこないから、娯楽作のトーンがずっと一緒で新しさにかけるんですよね。韓国なんかは競争率も高いから、どんどんアップデートされている印象があります。



『ヴィレッジ』©️2023「ヴィレッジ」製作委員会


Q:若い世代の映像センスが上がってきた要因は、例えばInstagram等のSNS含めてお洒落な映像を日ごろから観ているからなのでしょうか。


藤井:少なからずあると思います。YouTubeによって世界中の映画の予告映像を観られるようになったし、Netflixの新作を観れば何が流行っているか、いまの流れはつかめますし。「こういう機材を使っているんだな」「編集ソフトはこれか」といった情報を誰でも手に入れられるようになってきましたから。


Q:『ヴィレッジ』は、世代によって見え方が変わるようにも思っていて、そのひとつが映像ではないでしょうか。村モノをこういったスタイリッシュに撮った作品は国内だとかなりレアかと。


藤井:マスコミ試写の感想を聞いている限りは、映画を厳しい目線で観ていらっしゃる年長者の方々に評価されているみたいです。僕の映画は比較的そういった層には届かないと思っていたので、新鮮でした。いまは逆に、この作品が若い世代にどう見られるのかが気になっています。自分自身も新鮮なものを作っている感覚がすごくあるのですが、「新しいものに出合った」感覚になってくれるのか、それとも「もっとテンプレートが欲しい」なのか、反応がわからないからこそ楽しみではあります。





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