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『ヴィレッジ』藤井道人監督が帰着した映画の原点、未来への危機感【Director’s Interview Vol.307】

『ヴィレッジ』藤井道人監督が帰着した映画の原点、未来への危機感【Director’s Interview Vol.307】

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20代以下の監督をどう“救済”していくか



Q:以前、藤井さんと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)の話をした際、「石のシーンは国内メジャー配給だったら落とされそう」と仰っていましたよね。そう考えると『ヴィレッジ』はスターサンズだからこそ出来る表現も多かったのではないでしょうか。


藤井:まさにそうだと思います。というかそもそも企画書の段階でスターサンズ以外だと通らない気がします。「横浜流星主演で『ヴィレッジ』? 通るわけないだろ」と一蹴されていると思います。河村さんだったから通ったところはありますね。


Q:ただ、今後『ヴィレッジ』のような作品が増えていかないといけないとは、個人的には思います。


藤井:同感です。いまはとにかく危機感しかないですね。河村さんは一番死んじゃいけないときに死んじゃったなと思うんです。あと10年いてくれたら、絶対に映画業界が変わっていたのに。



『ヴィレッジ』©️2023「ヴィレッジ」製作委員会


もちろん河村さんが全てではないけど、河村さんが作る映画には未来がありました。素晴らしい作家がどんどん出てくるんですよね。真利子哲也さんの『宮本から君へ』(19)や吉田恵輔さん(『愛しのアイリーン』(18)『空白』(21))然り……。ただ一方で、30~40代の人しか救えなかったとも思うんです。僕は20代の監督と河村さんが出会ってほしかったし、そういった企画を成立させられる“珍品”のプロデューサーは今後出てきづらいと思っています。もちろん、跡取りの行実良(『ヴィレッジ』プロデューサー)には期待していますが。


僕が同じ匂いを感じるプロデューサーは、Netflixの坂本和隆さん(Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデント)。彼はパイオニアであり変革者ですが、映画業界にそういう人はもっといてほしいです。


Q:坂本さんなんですね!


藤井:坂本さんは本当にゲームチェンジャーであり、我々の作品の理解者で戦友のような存在です。河村さんはワンマンな暴走機関車で、坂本さんはみんなの意見をヒヤリングしたうえで「これをいまやることが面白いと思います」という真逆のタイプですが、ギャンブラーであることは同じ。このふたりがコラボしたときの爆発力はすごく面白かったですし、河村さんのようなおじさんには二度と会えないんだろうな……と覚悟もしています。自分がなるしかないんだろうなって。





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