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『ヴィレッジ』藤井道人監督が帰着した映画の原点、未来への危機感【Director’s Interview Vol.307】

『ヴィレッジ』藤井道人監督が帰着した映画の原点、未来への危機感【Director’s Interview Vol.307】

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映画宣伝の理想の在り方とは?



Q:『ヴィレッジ』が一つの契機になるかもしれませんし、この作品を境に“受け手”がどう変わっていくかも注視していきたいところです。


藤井:余白をちゃんと愛してくれる人たちに届いてきている感覚はあるので、あとは若い世代や「で、結局何だったの?」という感想を言いがちな人たちにどう届くかですね。


Q:そのタッチポイントのひとつが、宣伝です。ポスターのデザイン一つとっても、カッコよくできるかは本当に重要ですよね。


藤井:宣伝プロデューサーはいつもキコリの石山成人さんというクレイジーな方にお願いしていて、今回もいつも通り「これが好き」「これがいい」「これが嫌だ」と伝えました。唯一無二の存在だと思います。他の宣伝チームだとポスターがダサいと議論になることもあるのですが石山さんチームはいつもカッコいいものを作ってくれるので本当にスムーズです。



『ヴィレッジ』©️2023「ヴィレッジ」製作委員会


Q:石山さんは現場にも参加されていますし、皆で一丸となってクリエイティブを作っていくのが藤井組だなと思います。これはかなり珍しいことですよね。


※宣伝スタッフの中田さんよりコメント

中田(宣伝):私もそう思います。宣伝は基本的に作品ができてから動き出すものですが、スターサンズと藤井さんと石山さんの関係だからできる仕組みですね。特写(映画の情報初解禁時等に公開される写真)のコンセプトを監督やキャストの皆さんに理解していただいたうえで現場で撮らせてもらえるのは、藤井組でしかできないことだと思います。


藤井:だって現場で撮ったほうが絶対いいですもん。


中田(宣伝):そうなんですよね。役が入っていますし、スタジオで撮るのとはクオリティが全く違います。『ヴィレッジ』の本ビジュアルは撮影終了後のド深夜に撮らせていただきましたが、にもかかわらずキャスト・スタッフみんなが協力してくれるのは宣伝サイドとしてはものすごくありがたいです。本編ではありえない並びですからね。一堂に会さない人たちが、「ポスターを一枚画にしたいんだ」という想いを汲んで集まって下さった。メイキングを見せたいくらいです。


Q:これは僕の意見ですが、「日本映画のポスターはダサい」とこれだけ言われているんだったら、いいもの作ればいいだけの話なんですよね。もちろん様々なしがらみや事情はあるかと思いますが……。


藤井:よくよく考えてみたら、ポスターがダサくて損するのって監督や組のメンバーなんですよ。僕らはこれがダメだったら次はないんです。


これは俳優もそうで、「コケた映画の主演」とか言われたりするじゃないですか。僕らはリスクを背負ってやっているから、宣伝に対して口を出すことも責任感として絶対必要だと思っています。カッコいいポスターだったら仮に失敗しちゃっても納得できるし、こういった部分はもっと見直すべきだと思います。



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監督・脚本:藤井道人

1986年8月14日生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(14)でデビュー。以降『青の帰り道』(18)、『デイアンドナイト』(19)など精力的に作品を発表。『新聞記者』(19)は日本アカデミー賞で最優秀賞3部門含む、6部門受賞をはじめ、映画賞を多数受賞。以降、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)、『ヤクザと家族 The Family』(21)、「アバランチ」(21/CX)、「新聞記者」(22/Netflix)と話題作が公開、2022年に公開した『余命10年』は興行収入30億円越えの大ヒットを記録した。



取材・文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema




『ヴィレッジ』

4月21日(金)公開

配給:KADOKAWA/スターサンズ

©️2023「ヴィレッジ」製作委員会

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