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『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』渡辺一貴監督 ジョジョの世界で惹かれるのは“言葉”の面白さ【Director’s Interview Vol.317】

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』渡辺一貴監督 ジョジョの世界で惹かれるのは“言葉”の面白さ【Director’s Interview Vol.317】

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ドラマ「岸辺露伴は動かない」を観て感じたことは“違和感のなさ”だった。荒木飛呂彦先生が描く原作漫画の構図や効果音が再現されていないにもかかわらず、なぜか漫画と同じ空気感を感じ、原作ファンとしても納得の面白さがそこにはあった。原作の映像化でありがちなのは、相違点を探す脳内作業が鑑賞中に無意識に始まってしまい、勝手に再現度をジャッジしてしまうこと。しかしこの作品に関しては、その作業が始まることは不思議となかった。


そんな、いち“ジョジョファン”としても堪能できた実写「岸辺露伴」が、今度は初の長編映画としてスクリーンに登場するという。監督はドラマを手掛けた渡辺一貴氏。渡辺監督は、あの偉大な原作をいかにして映像化しているのか?話を伺った。


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漫画のコマは再現しない



Q:原作漫画を映像化するにあたり、キャラクター、世界観、サスペンスなど、どの要素を抽出することに優先順位を置いていますか。 


渡辺:原作はもちろん素晴らしいですし、アニメの完成度も高い。ただ、映像化で同じことをするのは少し違うかなと考えていました。ジョジョの世界で私が惹かれるのは、ビジュアルのすごさに加えて、言葉の面白さなんです。会話劇としても成り立つので、文字に起こして小説にしても相当面白い。心理的な駆け引き、腹の探り合いのような「言葉のバトル」も原作の大きな魅力なので、そこを大事にして取り組んでいます。



『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社


Q:荒木飛呂彦先生の特徴でもある、効果音で迫ってくる感じや、広角に広がる構図は、映像化にあたり直接的な再現はされていないものの、なぜか不思議と同じ空気感を感じます。


渡辺:それは嬉しいです。ただ、何か計算しているようなことは全くなくて、漫画のコマを再現することもあまり意識していません。漫画はあくまでも二次元なので、それをそのまま三次元にしてしまうとどこかで無理が生じてしまう。撮影している瞬間は「原作に近づけなくては」という気持ちはなく、その現場で受ける感覚を最大限魅力的に撮るにはどうすればいいのか、そのためにはどんなレンズを使ってどの場所から撮ればいいのかを探りながら撮影しています。現場で気持ちのいい画を撮ることに尽きます。


Q:“漫画のコマを再現する”ことは意識していないと。


渡辺:もちろん原作が全てなので何十回も読み返すのですが、撮影前のある瞬間から原作を読むのは止めるようにしています。荒木先生の描かれるキャラクターや構図から受けるインパクトは強烈なので、それが頭の中に残っていると、生身の人間を動かすときに行動の妨げになってしまうこともある。一からリセットして、脚本に書かれているお芝居が自然に進行できるように、人物配置や動きの組み立てを考えるように心がけています。





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