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『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』内田英治監督×片山慎三監督 計算からはみ出たところに面白さがある【Director’s Interview Vol.326】

『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』内田英治監督×片山慎三監督 計算からはみ出たところに面白さがある【Director’s Interview Vol.326】

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歌舞伎町に逃げ出した宇宙人、それを追いかける探偵、FBI、忍者、ヤクザ、そこに暗殺者姉妹や連続殺人犯も絡んできて…。主演は伊藤沙莉と共演に竹野内豊、しかも内田英治と片山慎三のW監督!もはや面白い要素以外何もない『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』は、ぶっ飛んだ快作に仕上がった。海外ファンタ映画祭での絶賛も納得の出来栄え。表現にもコンプライアンスが求められる昨今だが、内田英治と片山慎三は振り切った内容をスクリーンに刻み付けてみせた。二人はいかにして本作を作り上げたのか。話を伺った。



『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』あらすじ

新宿歌舞伎町にある小さなバー「カールモール」のカウンターに立つ、27歳の女・マリコ(伊藤沙莉)のもう一つの顔は探偵稼業――「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してくれ」というFBIからの謎の依頼をうけ、恋人の自称忍者MASAYA(竹野内豊)と宇宙人に迫ってゆくのだが・・・。


Index


やりたいことを入れ込んだ企画



Q:最初は「伊藤沙莉さん主演のオムニバス映画」という企画だったそうですね。


内田:伊藤沙莉主演でいろんな監督がリレーしていくようなことを最初はやりたかったんです。でも皆なかなか忙しいし、意外と面倒臭い(笑)。それで片山監督を誘って二人でやることになりました。でも結果二人で良かったかなと。ワイワイ5人も6人もいると、ちょっと一貫性がなかったかもしれませんね。


Q:お二人の出会いは「全裸監督」(19 )からですか。


内田:そうですね。知り合ったのは「全裸監督」です。彼はまだ助監督でしたが、現場だけでなく企画段階から入ってきてました。



『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』©2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会


Q:全体で6話のエピソードを3話ずつ分けて監督されたとのことですが、全体に共通する構成や世界観、キャラクターなどはどのように作られていったのでしょうか。


片山:忍者が出てくることと、宇宙人が歌舞伎町で逃げることは、内田さんから出てきたアイデアですね。それをFBIが追うといったものも、内田さんの方で最初にあったと思います。僕がやりたかったのは殺し屋姉妹の毒酒です(笑)。また、最初はどっちがどのエピソードを撮るとは決まってなかったのですが、最初の企画では7本ぐらいあったものを削ったり分割したりしながら、どの順番で監督するか決めていきました。


内田:無駄話しながら作ってました(笑)。脚本の山田能龍さんも「全裸監督」で一緒だったので、スタッフはまんまスライドした感じです(笑)。


Q:共同監督として、現場で二人一緒に演出をされたと思っていました。


内田:なるほど。コーエン兄弟みたいにね。いいね、そういうのもやってみようか(笑)。僕は現場が苦手なんで、共同監督だったら片山さんメインでお願いします(笑)。


Q:良い意味で、振り切ったエピソードが好き放題入っていて面白かったです。


内田:通常の企画開発ってどうしても理屈ありきになってしまうし、何人も集まって作り上げていくことが多い。でもそれだと、創作に限界があるんです。今回はそうではなく、個々のやりたいことをどんどん入れ込みました。それで統一性があろうとなかろうと、そこはどうでもいいよねと。


Q:振り切り過ぎて、心配するような方はいましたか?


片山:誰かに何かを言われたことはなかったですね。そういう意味では自由に出来て良かったです。


内田:好き勝手出来たのでよかったです。


Q:宇宙人やFBIなど風呂敷が広がってる感じも楽しかったです。


内田:製作規模と真逆の発想ですよね。ファンタ映画は大体そういうもんです(笑)。『悪魔の毒々モンスター』(84)とか、大体チープですよね。


Q:予告でも映っていますが、宇宙船のクオリティが高くて結構ちゃんとしているなと。


内田:本当ですか⁉︎ 嬉しい。お金が無いので、その辺に転がってた有り物を加工して使ってます(笑)。





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