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『リボルバー・リリー』行定勲監督 現代の情勢が突きつけた、この映画を作る意義【Director’s Interview Vol.340】

『リボルバー・リリー』行定勲監督 現代の情勢が突きつけた、この映画を作る意義【Director’s Interview Vol.340】

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行定勲がアクション映画を撮る!2022年2月に発表された『リボルバー・リリー』の制作決定のニュースに、驚きと期待を抱いた人は多かったのではないだろうか。ビジュアルや予告編が徐々に公開されていくにつれ、その本気度とクオリティの高さを見せつけられたが、実際に完成した映画は、アクションとしての面白さはもちろんのこと、戦争と大正末期という時代に真正面から対峙していた。ロシアのウクライナ侵攻が起こってしまったことにより、本作を撮ることについて逡巡したという行定監督だが、どのような思いでこの映画を作り上げたのか?話を伺った。



『リボルバー・リリー』あらすじ

謎の男たちに屋敷を襲われ女中らを惨殺された細見慎太(羽村仁成)は、辛くも現場を脱出するが、追っ手に取り囲まれてしまう。窮地に陥る慎太の前に現れたのは小曾根百合(綾瀬はるか)。慎太を助ける百合の手には、S&W M1917リボルバーが握られていた――小曾根百合とは何者なのか? 出会いの裏に隠された驚愕の真実を知る由もないまま、二人は行動を共にし、巨大な陰謀の渦に呑み込まれていく。命を賭した戦いの果てに二人を待ち受ける宿命とは?


Index


想像がつかない面白さ



Q:本作の監督依頼があったとき、どのような印象でしたか。


行定:完成の想像がつく企画を「一緒にやりませんか」と言われることが多いんです。今まで僕がやってきた作品に対しての安心感だと思いますが、「安パイ」って言葉もありますよね(笑)。そんな中で「アクション映画をやりませんか?」と言われたので、最初は「何で俺に?」と思いました。でも「今までになかったものを一緒に挑戦しませんか?」とも言われて、俄然興味が湧きました。


想像がつくものはアクシデントが起こりづらいですが、想像がつかないとアクシデントが起こる面白さもある。その逆転の意図に惹かれました。こちらが「ちょっと無謀じゃない?」と思うほど、プロデューサーの意気込みは只ならぬものでしたね。そこには応えようという気持ちになりました。



『リボルバー・リリー』©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ


Q:観客としては、そのアクシデントが楽しみな部分もあります。プロデューサーもそれを期待している部分は大きそうですね。


行定:想像がつくものをやってもしょうがない、そこに企画のポテンシャルがあるわけです。あとは女性が主人公だったことも大きいですね。これまでラブストーリーを多く作ってきた僕への安心感と、“女性らしさ”のような何かを浮き彫りにしてくれるのではないかという期待、その両方があったのではないかと思います。


 “殺戮人形”と呼ばれた小曾根百合は、自分の大切なものを失い、生きているのか死んでいるのか分からないような、そんな感情を持つ女です。その彼女のどこに女性らしさや人間らしさが垣間見えるのか。たくさんの命を奪ってきたにもかかわらず、彼女自身も血の通った一人の人間。その矛盾を抱えながらも、そこに打ち克つ物語になるといいなと。僕はそう思ってしまった。この“思ってしまった”ところが、アクションに特化して映画をみせる監督たちとは、僕が違うところなのかもしれません。そして多分同じものが、プロデューサーの紀伊さんの中にもあったのだと思います。映画が完成した今、改めてそう思いましたね。





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