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「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」イ・チャンドン監督 スクリーンに見えないものを感じてほしい【Director’s Interview Vol.344】

「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」イ・チャンドン監督 スクリーンに見えないものを感じてほしい【Director’s Interview Vol.344】

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スクリーンに見えないものを感じてほしい



Q:もうひとつ、監督の作品に共通するモチーフに「宗教」や「神」があります。しかし監督は宗教を、必ずしも人を救えるものとしては描いていませんよね。そこには、宗教や信仰に疑問を投げかける意図があるのでしょうか。あるいは別の狙いがあるのでしょうか。


イ:そうですね……私は、宗教というものが人生においてどんな意味をもつのかを観客に問いたいのです。皆さんには、その問いを持ち帰って、自分自身に問いかけてほしい。ただし、私にはその答えを与えるつもりは全くありませんし、そもそも私にその資格はないと思っています。つまり、私は「ただ問いかけるだけ」ということになりますね。


韓国と日本では、唯一神としてのキリスト教の影響はおそらく韓国の方が強いと思います。しかし私がいま言っている「神」とは、必ずしもキリスト教の神だけを指すのではなく、宗教にかかわらず、超越的な存在としての神を指しているのです。そういう私たちの日常を超越するもの、いわばロゴスのようなものが本当に存在するのかどうか。本当に存在するとして、私たちの人生には一体どんな意味があるのか。そのような問いをもって、宗教や神を作品に取り入れています。



『バーニング 劇場版4K』 (C)2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reserved


Q:監督の小説と映画を比較すると、映画の方がややキャッチーな印象があり、小説はよりハードな作風となっています。その違いは映画・小説というメディアの差からくるものか、それともご自身の年齢や経験によるものか、どのように認識されていますか。


イ:いろいろな理由が考えられますが、文学と映画というメディアの本質的な違いはあるでしょうね。文学や小説は作品そのものだけでなく、読者の想像力によって完成されるもの。ですから、どのように作品が完成するかは想像力次第ですし、同時に、言葉の力によって読者に多くを想像させるのが優れた文学作品だと私は思います。


その一方、映画はすべてを観客に見せるものです。しかし私としては、皆さんが作品を観たとき、全てを見たように思いつつ、まだ見えていないものがあることを感じ取ってほしい。そして、監督の私自身にもまだ見えていないものの存在を考えてほしい。目の前のスクリーンに見えているものだけでなく、その向こうにはさらにいろいろなものがある……そんなふうに感じられる作品をつくりたいですし、映画の作り手はそうであるべきだと思っています。どうすればそんな映画がつくれるのか、いつも悩みながら作品を撮っています。





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