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『一月の声に歓びを刻め』三島有紀子監督 自主制作で分かった映画作りの原点【Director’s Interview Vol.387】

『一月の声に歓びを刻め』三島有紀子監督 自主制作で分かった映画作りの原点【Director’s Interview Vol.387】

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作りたい映画を作っていきたい



Q:監督に加えてプロデューサーとしても名前を連ねています。プロデュース業務はいかがでしたか?


三島:お金を集めたという意味ではプロデューサーですが、その他は山嵜プロデューサーにほとんど担ってもらいました。ただ、配給を決めたり公開に向けての宣伝などや、お金に関わることも全て話し合いながら進めましたので、そこの大変さは実感しましたね。


Q:自分でお金を集めた経験は、今後の映画製作にも生かされると思いますか。


三島:うーん。お金を集めるという行為がスキルとして生かされることは無いかもしれませんね。ただ、映画の企画が始まり最後出て行くところまでを見届けることは、元々やってみたいと思っていました。監督としては作品が出来上がればそこで終わりなのですが、宣伝も含めてこの映画をどのように打ち出していくか、本当の意味でこの作品が世の中に生まれるまでを見たかった。そう考えると、塚本晋也監督の海獣シアターのように、著作権を自分たちで持って入口から出口まで自分たちで見ていくやり方になるのだろうなと。実際それをどの作品でやれてどこまでやれるか分かりませんが、まずはトライしてみようと。今でも分からないことばかりですが、「こういう仕組みになっているんだ」「ここが改善すれば、もっとやりやすくなるのでは」など、いろんな発見がありました。それは次の山嵜作品や自作などに繋げていきたいですね。



『一月の声に歓びを刻め』©bouquet garni films


一番の理想は、商業映画で思いっきりエンターテイメントを撮って、いつでも自主映画に帰れる場所があること。それで仲間と3人で、“ブーケガルニフィルム”という会社を立ち上げました。そこで自分たちの作りたい映画を、出来る範囲で作っていきたい。それがどこまでやれるかは、本当にこの作品にかかっています(笑)。


商業映画の監督としてやってきた自分が今の映画界でこういうものを作った意味を阪本順治監督が評価してくださったり、性被害を受けた何人かの女性が「お前は美しい」というカルーセルさんの言葉に救われたと言ってくださったり、20代の男性が「自分の大切な人がこんな体験をしていたら…と想像した。これから考え続けたい」と言ってくれたり、「頭からずっと離れない」、単純に「面白かった」と言ってくれたり、それぞれの立場で何かしら受け取ってくださっている方々がいます。この映画を観てくださった方は、皆さんきっと何かを発見してくださるのだろうなと信じています。




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