自分たちは結果を出さなければ次はない
Q:今回、藤井監督がSNSで「宣伝頑張ります」と度々書かれていたのが印象的でした。自主映画時代からご自身でトークイベントを企画してお客さんを呼んで……ということを続けられてきたかと思いますが、改めて観てもらうことへの想いを伺えますでしょうか。
藤井:映画はヒットしたから素晴らしい作品とは限らないと思いますし、その逆も然りで「内容は素晴らしいけれど興行的には振るわなかった」という映画も多くあります。ただ、努力することは大事だと思っていて、観客の皆さんからお金をいただいてこの生活を続けている以上は、結果を出さないと次がないという厳しい世界だと自分は捉えて闘っているつもりです。
だから映画がヒットしなかったらものすごく悔しいし、上手く届かなければ自分の責任だし、その責任があるからまだ辞められていないのだとも思います。もっともっと上に行きたい、もっといい監督になりたい、まだまだ映画のことを勉強したいと思える職業に就いてしまった以上、自分たちが行っている活動を「遊び」や「お祭り」と名付けてよいのなら、それらが終わってしまうのは自分がその時代に必要とされなくなったときだと。どんなに素晴らしいメンバーが集まっても、力を合わせて作ったものが成功しないと、また次同じメンバーで集まることは叶わないという哀しみを理解したうえでこの仕事を行っていますし、これからもしていきたいと思っています。
『正体』(C)2024 映画「正体」製作委員会
本当は、首から下が地面に埋まった男の話とか撮りたいんです。「なんで埋まってるの?」だけで2時間引っ張って、その道を毎朝通る花売りの少女が男をどんどん好きになってそれで終わり――みたいな(笑)。でもそれは、いま求められていないなということもわかっています。それでもどうしても撮りたいんだ!と思ったらそのときに撮ればいいし、いまは求められることをエンジンにして走っていきたい気持ちの方が強くあります。
僕は売れなかった時代が長かったので、見つけて下さった方々への恩もありますし、求めて下さる方がいるうちはバッターボックスに立ってホームランを打つことを頑張りたいという気持ちは、あまり変わりません。