2027年が自分の活動の一区切りになる
Q:とはいえ、2024年は3本の新作映画が公開され、プロデュース作も含めて八面六臂の大活躍です。
藤井:流石に休みたいですね(笑)。でも、自分史上最長だった「イクサガミ」の現場が終わって、また「撮影早くしたい!」となっています。撮影はやっぱり楽しいですから。会社周りの仕事をやっている方が比べ物にならないくらい疲れますし、会社員としては頑張らなければと思いますが。
Q:ご自身の創作欲も目減りはしないものなのでしょうか。
藤井:個人の欲求でいうと、もっともっと海外の作品に挑戦したいし、もっと大変な壁を味わってみたいです。「イクサガミ」で相当な壁を味わったとは思いますが、あのときの成長や達成感を忘れたくないから次の壁を欲してしまうんです。こう思えるのは、時間が限られているからかもしれませんね。これだけ身体が動いたり、気持ち的にもポジティブでいられるのはあと数年しかないと思うから頑張れるところはあります。ただ、そのピークが60歳くらいになっちゃうかもしれませんし、そこはわかりません。「まだいるよあいつ」と思われちゃうような邪魔な老人にならないようにカッコよくいたいなとは思いますが、このペースで活動できるのは30代までじゃないでしょうか。
『正体』(C)2024 映画「正体」製作委員会
Q:藤井監督はこれまでも、40歳を一区切りと仰っていましたね。
藤井:現状、押し巻きがあって41歳くらいまでは続きそうですが、2027年は自分の中で区切りにしています。そこからはもっともっと自分が新しい場に行けるようなトライをしたいと思っています。
Q:海外作品のお話がありましたが、今後挑みたい壁は具体的にもう見えているのでしょうか。
藤井:やはり日本のチームと作品、日本というものを武器に海外で戦いたい想いがあります。そうした意味で「SHOGUN 将軍」(24)は素晴らしいと思いますし、「イクサガミ」で自分たちがやっていることも多分そうだとは思います。
「海外に行って現地の少年の話を撮りたい」などではなく、日本人が日本人の心を持ったまま日本の良さを伝えていける国際プロジェクトがあるなら、積極的に挑戦していきたい、というのが当面の目標です。
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監督/脚本:藤井道人
1986 年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。14年に、伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』で商業作品デビュー。第43回日本アカデミー賞にて映画『新聞記者』(19)が最優秀作品賞含む6部門受賞、他にも多数映画賞を受賞する。その他に、映画『青の帰り道』(18)、『デイアンドナイト』(19)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)、『ヤクザと家族 The Family』(21)、『余命10年』(22)、『ヴィレッジ』(23)『最後まで行く』(23)、『青春18×2 君へと続く道』(24)、ドラマでは「アバランチ」(21)「インフォーマ」(23)やNetflix「新聞記者」(22)「パレード」(24)など精力的に作品を発表している。
取材・文:SYO
1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、複数のメディアでの勤務を経て2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、インタビューやコラム執筆のほか、トークイベント・映画情報番組に出演。2023年公開『ヴィレッジ』『正体』ほか藤井道人監督の作品に協力。オフィシャルライターとして『シン・仮面ライダー』『キリエのうた』『カラオケ行こ!』『青春18×2 君へと続く道』『Cloud』等に携わるほか、『市子』『52ヘルツのクジラたち』『朽ちないサクラ』ほかで杉咲花氏の公式インタビューを担当。装苑、WOWOW等で連載中。X・Instagram「syocinema」
『正体』
11月29日(金)全国公開
配給:松竹
(C)2024 映画「正体」製作委員会