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『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』上田慎一郎監督 自分の体に流れているケイパー映画の血 【Director’s Interview Vol.454】

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』上田慎一郎監督 自分の体に流れているケイパー映画の血 【Director’s Interview Vol.454】

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脚本・撮影・編集とヤスリをかけ続ける



Q:今回のようなケイパー映画の場合、プロットや脚本はどのように作られるのでしょうか。先にケイパーの内容・構造から考えるのでしょうか。


上田:こういう商業映画の場合はまずプロットを作るのですが、その時点でイベントが起こるポイントが決まってくる。ただ、自分の場合は脚本を書いているときに変わっていくことが多くて、核心的な設定すらも途中で変わったりします。最初は無かった設定が途中で追加されたりするので、最初から意図したような作為があんまり無いんだと思います。設定を思いついたら、それを全体に行き渡らせる必要が出てくるので、行ったり来たりして書いていますね。


カメラを止めるな!』のときも同じで、表と裏を行き来しながら書いていました。伏線を張ることはあまり難しくなくて、アンサーがあったらそれを前に振っておけばいいだけ。伏線を張った上でその伏線の痕跡を消して、“ドヤ感”みたいなものを無くすことも必要なのですが、でもぼんやりとは残しておかないと、後で「あっ、そういえば!」とならない。脚本執筆の最後は、その辺のバランス取るためにヤスリをかけていくような作業になります。思いついたときは粗めの仕上がりなので、全体を行ったり来たりしながらヤスリをかけていく感じですね。


Q:14稿目はもう磨きまくった感じになっていると。


上田:そうですね。磨きに磨いたもので撮影に突入するわけですが、撮影中も差込み台本というのを書いていて、日々セリフが変わったりしました。



『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』©2024アングリースクワッド製作委員会


Q:撮影中に変更が起こると全体への影響は出てこないのでしょうか。


上田:もちろん他に影響を及ぼさないところが変わる感じです。撮ってしまったところは変えることが出来ませんから。だからほかの影響も考えつつも更により良くできないかと、現場が走っている中でもギリギリまで粘っていました。それは僕だけではなく、内野さんも岡田さんも同じなんです。みんなでずっとヤスリをかけ続けた日々でしたね。


ヤスリは編集でもかけ続けます(笑)。編集でシーンの順番が入れ替わったりしますし、たぶん2〜3シーンは丸々カットしています。今回の編集は江橋佑太さんと僕の2人でやったのですが、撮影中から江橋さんにどんどん素材を渡して、都度つなげてもらっていました。


Q:シーンを入れ替えたりカットしたりという編集段階での変更は、どういった理由で発生するのでしょうか。


上田:キャラクターの感情の動線が滑らかでないときは、入れ替えた方が腑に落ちることがあるんです。そこは繋いでみないと分からない部分もあって、「あ、こっちの順番が正しかったんだな」と編集しながら気づくこともある。編集には時間をかけたいのですが、商業映画の場合は期限が決まっている。その期限の中で出来るだけ編集時間を増やすために、今回は撮影中から編集を同時進行させたわけです。撮影が終わった時点である程度繋がっている状態だったので、そこからさらに編集していくことが出来ました。





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