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『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』モーガン・ネヴィル監督 ドキュメンタリーをレゴ®に置き換える【Director’s Interview Vol.484】
ファレルが映画になる意義
Q:これまでレゴ社とハリウッドスタジオのコラボで、多くのレゴ アニメーション映画が制作されていますが、どんな印象がありましたか。
ネヴィル:全部好きだよ。独自の美学があるというか。レゴの使い方など、これらの映画で共通した手法が確立されてきた。すべてレゴで作ることが可能であるという点が要だろう。バーチャルの世界でデザインが可能であり、かつ自宅でもそれができる、という点も重要だ。
僕の映画の中ではタートルネックを着たキャラがいるという設定がある。レゴにタートルネックを着たキャラはないが、すでにあった襟を後ろ前にしてタートルネックとした。本作ではそういった工夫が必要となった。これまでのレゴ映画で使用された制作方法についてはかなり認識していた。共通したユーモアもあり、それも生かしたいと思った。レゴ映画といえばそこが大切だと思うからね。遊びの気持ち、それに加え実生活を反映させた要素も加えて大切にした。人生の波や苦労をね。それをレゴという方法で一貫性を持たせた。そこは嬉しい驚きだったね。
『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』© 2024 FOCUS FEATURES LLC
Q:ファレルは、なぜ今この映画を通して自分の人生を語りたかったのでしょうか。
ネヴィル:そもそもこの映画の話が出たのは5年半前だった。彼は50歳の誕生日までには完成させたいと言った。50歳の誕生日は1年半前だったから、制作が長引いて締め切りは過ぎちゃったね(笑)。50歳になる前に、いろいろ思う事があったんだろうな。三つ子を授かって、そのほかにも年上の子もいて、自分の人生を振り返る気持ちになったんだろう。子供たちが観ても理解できるような語りにしたいという考え方で。
また、この映画の制作中にルイ・ヴィトンでの仕事が始まった。全く新しい章が始まったわけで、人生が最終章を迎えたから振り返るというわけでもない。「ルイ・ヴィトンの事も入れたらいいかな?」と聞かれたが、僕は「それをするなら次作だよ」と答えた。『ファレル、パリに行く』というのが次の映画かな。今回の映画は、彼の人生を通しての音楽の旅だ。ルーツであるヴァージニアから始まり、現在に至るまで何が起こったかというね。