2025.06.02
『テルマがゆく！ 93歳のやさしいリベンジ』あらすじ
93歳テルマは夫に先立たれ、寂しくも気楽な一人暮らしを謳歌していた。心優しい孫のダニエルがベストフレンド。いつもと変わらないはずのある日、一本の電話がテルマの運命を変える。「おばあちゃん、オレオレ。事故を起こしてしまったよ！」刑務所にいるという愛する孫を助けるため、テルマは急いで保釈金の1万ドルをポストに投函する。しかしそれは無情にも、オレオレ詐欺だったのだ……。落胆する娘夫婦を見て、居ても立っても居られないテルマは、詐欺師たちからお金を取り戻す、93歳ミッション インポッシブルの遂行を決意！旧友の老人ベンを巻き込み、電動スクーターでロサンゼルスの街を駆け巡る、大冒険に出発する！果たしてミッションは成功するのか……！？
Index
初主演映画としては世界最高齢の記録か
2013年、日本の赤木春恵が『ペコロスの母に会いに行く』（13）で映画初主演を果たし、「世界最高齢での映画初主演女優」としてギネス世界記録に認定された。その後、世界に目を向ければ、この記録は更新されたかもしれない。草笛光子が初主演作となった『九十歳。何がめでたい』（24）で国内最高齢の映画主演女優記録を作り（公開時90歳）、続く『アンジーのBARで逢いましょう』（25）でその記録を91歳に更新。男優にも枠を広げると、黒澤明監督の『生きる』（52）でデビューした加藤茂雄が『浜の記憶』（18）で93歳にして映画初主演を果たしている。
そしてハリウッドでは、さらにそれらを上回る記録が作られた。『テルマがゆく！ 93歳のやさしいリベンジ』（24）が全米で公開された2024年6月の時点で、ジューン・スキッブは94歳。男優も含めて、おそらく初主演の最高齢だろう。邦題にあるように、主人公のテルマは93歳という設定で、ジューン自身も撮影時93歳だった。つまり彼女が演じたからこそ「意味がある」作品になったと言える。
『テルマがゆく！ 93歳のやさしいリベンジ』© Courtesy of Universal Pictures
大好きな孫の名で「事故を起こしたので1万ドルの保釈金を払って」という連絡を受けたテルマは、いわゆる“オレオレ詐欺”に引っかかってしまうのだが、そこから一念発起。犯人を突き止めて、払った大金を取り戻そうとする奮闘劇は、93歳という設定が観ているこちらの感情をさまざまな方向で刺激してくる。悪く言えば“ユルい”ムードも濃厚なのだが、そのユルさが心地よくなっていくのは、役のテルマと演じたジューンの奇跡のような一体感のおかげ。
驚くのは、この物語が監督ジョシュ・マーゴリンの祖母の体験が基になっていること。名前もテルマそのまま。ジューン・スキッブは、モデルとなったテルマと面会し、「何かやろうと思ったら、必ず実行する」性格が自分に似ていると認識したと語る。スキッブはテルマを演じる際に、彼女の日常を撮影した動画を見て、性格や行動パターンを参考にしたという。
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