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TBS系金曜ドラマ「イグナイト -法の無法者-」企画/プロデュース/脚本:畑中翔太 テレビの力を信じている【Director’s Interview Vol.487】

TBS系金曜ドラマ「イグナイト -法の無法者-」企画/プロデュース/脚本:畑中翔太 テレビの力を信じている【Director’s Interview Vol.487】

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テレビの力を信じている



Q:畑中さんは広告業界出身ですが、映画・ドラマ業界に入っていったのは、どのようなきっかけだったのでしょうか。


畑中:正直、BABEL LABELに引きずり込まれました(笑)。2018年に作ったあるYouTubeドラマが、僕自身の初めてのドラマ作りだったのですが、その監督を当時の藤井さんと原さん、志真健太郎さんにお願いしたのがきっかけでした。YouTubeドラマを30本作って、それを1日1本アップするという携帯会社の広告案件でしたが、ドラマ制作の面白さに引き込まれました。その後も博報堂ケトルにいながらドラマの企画を考え、地域創生プロモーションとして企画した「絶メシ」がドラマ化されることになり、それが初の地上波ドラマ制作となりました。


Q:脚本作りはどのようにして学ばれたのでしょうか。


畑中:よく聞かれるのですが、実際は自分でもよくわからないんです(笑)。広告の仕事も最初は皆やったことないところから始めますし、プロとしてやらなきゃいけないという意味では一緒かなと。脚本の勉強は特にしていませんが、BABELに置いてあった脚本はとにかく読みましたね。ここで感情を動かして、ここでひっくり返して、といった構造みたいなものを読み解きながら理解していきました。そうやって脚本の構造を解析しつつ、自分でも一度落としこんでみようと書き始めたのがきっかけです。それを読んでもらい意見を聞くと、わかってくることもある。そうやってトライアンドエラーしながら、ベースを掴んでいった感じでした。


ただ今回は1時間ドラマで法廷モノ、これまでとは全然違う戦いでした。法廷のリアリティとドラマとしてのエンタメの線引きが難しいんです。法律監修の方にたくさん話を伺ったり、自分で裁判を見たりもしましたが、実際の法廷では基本的には証拠を先に提出していて、それを確認するような場になっている。そのままやると全然面白くない。では全部嘘をついてやってしまうとリアリティがなくなってくる。そこの線引きがドラマとしては難しかったですね。



©BABEL LABEL/TBSテレビ「イグナイト」


Q:今後はどのような作品を作られていくのでしょうか。 


畑中:大きな地上波ドラマにもっとチャレンジしてみたいです。BABELは映画小僧が多くて、藤井さんや原さんも映画をメインでやっているし、そこにロマンを持っている。でも僕は良くも悪くもあまりロマンを持っていない人間なので、一番影響力があるメディアや媒体でモノづくりをやりたい。今回TBSの金曜ドラマをやらせてもらって感じたのですが、まだまだ地上波ドラマはNetflixなどよりもパワーがあるんじゃないかなと。メディアへのPR力や番宣力など、世の中に波及していく力がすごい。お茶の間にいる人たちにちゃんと届いている感覚が、これまでの経験で最も強くありました。作ったものをとにかく観てもらうことが「正義」だと思っているので、そういう意味ではテレビの力を信じていますし、すごく可能性があると思っています。


Q:BABEL LABELとしてのエッジが立っている感じがありつつも、しっかりとお茶の間に届くドラマになっている。エンターテインメントへの落とし込み方のバランスが絶妙でした。


畑中:僕が企画・プロデュースの側面で大事にしていたのはそういうところかもしれません。僕以外のBABELメンバーだけで作っていたら、もっと本格的な映画テイストになっていたかもしれませんが、僕はなるべく連続ドラマ目線で意見を言うように意識していました。映像はシネマルックでも良いけれど、毎週見続けてもらえるようにキャラクターたちはポップにするべきだと。視聴者さんに「あのキャラクターたちを見たい!」と思ってもらえれば、ずっと愛される作品になる。そこについては制作チームでもかなり議論しました。





企画プロデューサー・脚本家:畑中翔太

1984年生まれ。中央大学法学部卒業。2008年博報堂入社後、博報堂ケトルに参加。2021年dea inc.を設立。同年より、企画プロデューサー・脚本家として「BABEL LABEL」に参加。これまでに国内外にて200を超えるクリエイティブアワードを受賞。クリエーターオブザイヤー2018メダリスト、カンヌライオンズ審査員。ドラマ『イグナイト -法の無法者-』『量産型リコ』『絶メシロード』『お耳に合いましたら。』『八月は夜のバッティングセンターで。』『ポケットに冒険をつめこんで』『箱庭のレミング』などの企画・プロデュース・脚本を務める。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




TBS系金曜ドラマ「イグナイト -法の無法者-」

4月18日(金)〜【毎週金曜】よる10:00~10:54放送 TBS系 

制作:BABEL LABEL TBS

© 1995-2025, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.

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