毎週金曜日夜10:00~から絶賛放送中のTBSドラマ「イグナイト -法の無法者-」は、コンテンツスタジオBABEL LABEL(以下、BABEL)が製作を担当。BABELとしては初の地上波ゴールデン・プライム帯ドラマとなる。映画『帰ってきた あぶない刑事』(24)の原廣利、Netflix シリーズ「イクサガミ」(25)の⼭⼝健⼈らが監督を務める中、本作の企画・プロデュース・脚本を務めるのが、これまで国内外にて200を超えるクリエイティブアワードを受賞し、ドラマ「絶メシロード」(20)「量産型リコ」(22)などを生み出してきた畑中翔太氏だ。人々に訴訟を焚き付けるという型破りな弁護士たちを描いたこのドラマ、畑中氏はいかにして作り上げたのか。話を伺った。
「イグナイト -法の無法者-」あらすじ
「IGNITE」=“火をつける”。その言葉のように、原告になりそうなターゲットの心に火をつけ、訴訟を起こさせる――。父親を事故で亡くしたことをきっかけに弁護士を志した間宮祥太朗演じる主人公の宇崎凌(うざき・りょう)が飛び込んだのは、“争いの火種”があるところへと潜り込み、人々に訴訟を焚きつけ、あらゆる手段を使って原告を勝訴へと導く界隈では“無法者”として知られている怪しげな法律事務所だった。まるで弁護士バッジをつけた“法の当たり屋”ともいえる彼らの目的は金か、正義か・・・?
Index
被害者にどう感情移入させるか
Q:今回どのような経緯でTBSゴールデン・プライム帯の連続ドラマを手がけることになったのでしょうか。
畑中:BABEL LABELとしてこれまでの映画や深夜ドラマのフィールドだけではなく、地上波ゴールデン帯のドラマ制作も狙っていこうと積極的に企画提案をしている中で、TBSさんにこの「イグナイト」という企画に興味を持っていただきました。その後、企画をより具体化していく中で、金曜ドラマ枠の作品として「是非やりましょう」と制作が決まりました。
Q:畑中さんの中にはそういった企画がストックされているのでしょうか。
畑中:結構ありますね。まだ出してないものもあるし、出してダメだったのものもある。それでも諦めずに残しているものなども含めると、多分30本以上あると思います。まだ成仏してない企画がたくさんあるんです(笑)。
©BABEL LABEL/TBSテレビ「イグナイト」
Q:TBSから企画や脚本に対してリクエストはありましたか。
畑中:「カタルシスを大事にしたい」という話がありました。そこで、“弁護士が人を焚きつけて裁判を起こし大金を取る”というフレームがありつつも、各話の中で被害者の気持ちにどう感情移入できるのか、それを指針にすることにしました。最初僕の中では、もっとクールにお金を取っていく「オーシャンズ11」のような集団を想定していたのですが、実際に出来上がったイグナイトというドラマは、被害者が「訴訟をしよう」と心に決めるところまでに1つの山がある。そこまでの感情をどう作るか、そこの感情と向き合うことを意識しました。
Q:主人公である宇崎の成長物語の要素も感じます。キャラクターはどのように作られたのでしょうか。
畑中:企画の段階ではキャラクターの奥底までは作っていなかったので、脚本段階で作りあげていきました。企画が決まってから1年以上時間があったので順次各話の脚本を書いていたのですが、5話くらいまで初稿を書いた段階で、各キャラクターの性格や個性が見えてきました。そこでまた1話に立ち戻り、上書きをするようにキャラクターに磨きをかけていきました。時間があったおかげでそれぞれのキャラクターは面白いものになりましたね。