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『青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE』清水恵介監督 音楽とドキュメンタリーをつなげたい【Director’s Interview Vol.494】

『青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE』清水恵介監督 音楽とドキュメンタリーをつなげたい【Director’s Interview Vol.494】

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2025年に結成10周年を迎え、現在世界中を席巻している「新しい学校のリーダーズ」。そんな彼女たちの圧巻のライブパフォーマンスがスクリーンにやってくる!バックステージや単独インタビュー、ファンへのサプライズライブや、各地を巡りながらのパフォーマンスなどのドキュメンタリー映像なども加わり、ここに新たな音楽映画として誕生した。


本作の監督を手掛けたのは、「THE FIRST TAKE」やNHK「おかえり音楽室」で新しい学校のリーダーズの魅力を捉えてきた清水恵介。彼女たちの表現力に感銘を受け、再びタッグを組むことを熱望し本作が実現。初の長編音楽ドキュメンタリー映画に挑んでいる。清水監督はいかにして『青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE』を作り上げたのか。話を伺った。


Index


音楽とドキュメンタリーをつなげたい



Q:本作は清水監督の企画から始まったそうですが、制作までの経緯についてお聞かせください。


清水:僕は21~23歳の頃にキネティックという映画会社でデザイナーとして働いていて、そこではジョナサン・デミが監督したトーキング・ヘッズの『ストップ・メイキング・センス』(84)のリバイバルや、『DOWN TOWN 81』(00)というバスキアのドキュメンタリー、ヴィンセント・ギャロの『ブラウン・バニー』(03)などを配給していました。中でも僕が関わっていた作品は音楽映画が多く、特に『ストップ・メイキング・センス』は大好きで沢山影響を受けましたね。


そんな音楽映画を作りたいと以前から思っていたのですが、それには本当に追いかけたいアーティストがいないと成立しない。撮りたいと思えるようなアーティストをずっと探し続けていました。そんな中で出会ったのが「新しい学校のリーダーズ」でした。彼女たちとは「THE FIRST TAKE」で初めて出会い「おかえり音楽室」でも撮らせてもらったのですが、とにかく圧倒的な魅力を持っていて、ものすごいアーティストが誕生したなと。僕らが小学生の頃は「イカ天」というオーディション番組があってバンドブームの真っ只中。その時代に追いかけていたのが「ナゴムレコード」という個性の強いレーベルでした。また、そのあとに夢中になったビースティ・ボーイズが設立したGrand Royalという型にハマらない自由なノリのレーベルがあったり。そういったレーベルのアーティストたちは、独自のやり方と音楽性で自分たちの道を切り拓いていってる姿が、とても魅力的でした。「新しい学校のリーダーズ」にもそれに近い匂いを勝手に感じてしまい、そんなアーティストが今もいるのだとすごく驚きました。



『青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE』©2025, ASOBISYSTEM / TV ASAHI MUSIC / TWIN PLANET & CJ 4DPLEX Japan


THE FIRST TAKE」と「おかえり音楽室」でも大事にしているのは、音楽以外のドキュメンタリーの部分にも音楽を感じさせるということ。「THE FIRST TAKE」では音楽の部分のみならず、そのパフォーマンス前後も大事にしてきましたし、そこって、落語で言うところの“枕”に似ていて、その音楽がどうやってこの人たちから生まれているのか、という入口のようなもの。そういった、ドキュメンタリーなのに常に音楽を感じるような映画が好きなのですが、今はそれが減ってきている印象があって、ドキュメンタリーと音楽に隔たりがあるものが多い。僕はそこが全てつながっているようなものを作りたい。それが音楽映画のアプローチとしてやりたかったことでした。たとえば映画の中で、ライブの歓声が雨音やお茶を立てる音にいつの間に変わったり、瞑想では時間の前後関係が断ち放たれた瞬間に無音になったりと、ずっと音を豊かに感じ続けれるような演出にしています。


「新しい学校のリーダーズ」は4人で話しているだけでもう音楽を感じていて、誰か一人が話し出したら、それに乗っかって誰かが話しだし、それがリズムに乗っていつの間にか歌になっている。そういう場面を現場で何度も目撃しました。本当に音を楽しんでいるアーティスト。僕がやりたかった「ドキュメンタリーなのにすべてに音楽を感じる映画」を彼女たちと一緒に作りたい!と願いまして、リーダーズが10周年という節目を迎えることもあり、撮らせていただく機会に恵まれました。





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