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『ジュラシック・ワールド/復活の大地』ギャレス・エドワーズ監督 × 脚本:デヴィッド・コープ スピルバーグのアドバイスとは?【Director’s Interview Vol.508】

『ジュラシック・ワールド/復活の大地』ギャレス・エドワーズ監督 × 脚本:デヴィッド・コープ スピルバーグのアドバイスとは?【Director’s Interview Vol.508】

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脚本執筆の“九戒”



Q:今回はアクションアドベンチャーの要素も強かったですが、そういったシークエンスでは脚本にはどこまで詳細に書かれているのでしょうか。例えば、海上でのモササウルスとの格闘や、Tレックスとの遭遇シーンなど、どこまでが脚本でどこまでが演出なのでしょうか。


デヴィッド:この質問は興味深い話になりそうですね。脚本家の中には少しだけ書いてあとは監督に任せる方がいますが、私はシーンに対して想像できることは可能な限り全て書きます。これはなかなか大変で難しいことですし、後々変わっていくことも想定して書かなければなりません。そこまでちゃんとやらないと、脚本家としての責任を放棄していることと同じです。脚本家というのは振付師のようなもので、まず自分のつくった素材を提案して舞台に上げてから、そこから出来るものが変わっていくのです。


ギャレス:デヴィッドの脚本は本当に素晴らしく、現場で変えるところはほとんどありませんでした。監督の仕事はストーリーテリングとビジュアルを見せること、この二つの相互関係がとても大事です。ストーリーが先行してビジュアルが追い付かないのもダメだし、ビジュアルだけの映画になってもダメ。この二つをうまく機能させる必要があるのですが、これがそう簡単なことではないわけです。その点、デヴィッドは監督にとって素晴らしく協力的な人なので、何度も相談させてもらいました。


撮影においては、デヴィッドのアイデアをビジュアルに変えていく作業になるわけですが、この作業はまるでジグソーパズルのようで説明書もない。そこは自分で作る必要があるのですが、一方で物語の流れも止めてはいけない。すでに作り始めている美術セットもあるし、そこを外すこともできない。そうやって悩んだ時にデヴィッドに相談すると、次の日には美しい文章でその解決案が出てくるんです。本当にありがたかったですね。



『ジュラシック・ワールド/復活の大地』©2025 Universal Studios. All Rights Reserved.


Q:本作の脚本執筆にあたりモーゼの十戒ならぬ九戒があったそうですが、それはどのように決められたのでしょうか。


デヴィッド:チャック・ジョーンズという有名なアニメーターがいるのですが、彼が「ワイリー・コヨーテとロード・ランナー」を作る際に定めた“九戒”というものが存在するそうです。その作品を作る際には、スタッフは皆それに従って作業していたとのこと。そこには「コヨーテの敵は重力だ」といった規則が書かれているのです。それと同じように、今回自分が作業している中でも、この作品での重要な指針をまとめてオリジナルの “九戒”を作りました。脚本執筆中はそれを壁に貼って作業していましたね。


Q:その九戒は他の映画にも応用できるものなのでしょうか。


デヴィッド:今回の九戒はあくまでも本作に特化したものですが、脚本を書く際には毎回そのような決めごとを指針として設けています。例えば最近書いた脚本では、「今の人はスマホばかり見ているけれども、映画では絶対にスマホの画面は見せないこと」というルールを決めていました。スマホを見ている人の顔は映しても良いけれど、スマホの画面自体は映画館のスクリーンには出さない。各映画でそういったルールを作った上で、いつも脚本を書いています。





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