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『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』木村真人監督 スタッフ・キャストが意見できる現場に【Director’s Interview Vol.520】

『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』木村真人監督 スタッフ・キャストが意見できる現場に【Director’s Interview Vol.520】

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冒頭シーンに込めたもの



Q:日本の風景ですが、どこかファンタジーのような不思議な空気をうっすら感じます。カメラマンとはどのようなことを話して撮影されたのでしょうか。


木村:最近は同じ撮影スタッフ陣と一緒にやることが多くて、毎回新しいチャレンジをしています。この映画ではカメラ前にライトを当てたり、レンズに和紙を貼ったりして、柔らかく懐かしい印象やテーマカラーを出していきました。


Q:和紙をフィルターみたいな感じで使われたと。


木村:そうですね。和紙の透け感と色味がかなり特徴的に出ていたと思います。他にもマットな紙やキラキラと太陽光で光る紙、透ける紙など、色々な紙をフィルター代わりに使っていました。すごく楽しかったです。


Q:そういったチャレンジは地上波ドラマだと難しかったりするものでしょうか。


木村:テイストにもよりますが、僕はドラマ撮影でも結構やっています(笑)。でも、他の現場では見たことがないので、普通はあまりやらないかもしれませんね。


Q:最近のドラマのルックは映画トーンになってきている感じもあります。


木村:映画のスタッフの方々がどんどんドラマの現場に入ってきて、映画的なルックを好む人が増えてきています。ドラマと映画の境がなくなってきている感じもしますね。



『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』©2025 映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える」製作委員会


Q:冒頭は村を巡るシーンから始まりますが、ダイナミックなカメラワークが印象的でした。ドローンを駆使したショットも多かったですが、その辺のこだわりについて教えてください。


木村:今回出てくる少年たちはとても純粋なので、「こんなに心が綺麗な子は実際にはいない」と思われるかもしれない。今は皆、生きているだけでも何かしらの生きづらさを抱えていると思うので、そう感じられてしまうのも理解できます。ただ、そのような中で、あの少年たちの性格に説得力を持たせるためには、村の景色を冒頭で見せるシーンがどうしても必要でした。こういう豊かな自然の中で育ってきたからこそ、あの子たちはあんなにも綺麗な言葉をまっすぐに話し、泣きたいときは泣き、笑いたいときは笑って、高校生になっても変わらない心を持って楽しく生きている。それを念頭に置いてもらうためにも、冒頭で村の風景をしっかり見せて、これから映画を観る人を物語に引き込みたかったんです。


また、あのシーンでは鯉のぼりがたくさん出てきますが、あれは実際に南房総に設置してあったものです。とても綺麗だったので、撮影まで外さないでくださいと地元の方にお願いしていました。そのおかげで、あのたくさんの鯉のぼりをそのまま撮ることができました。





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