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『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』オダギリジョー監督 ドラマから映画へ、意識したものとは【Director’s Interview Vol.523】

『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』オダギリジョー監督 ドラマから映画へ、意識したものとは【Director’s Interview Vol.523】

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編集で理想の形に引き上げる



Q:自分の想像と違うと感じたものを、監督としてどう受け止められていますか。


オダギリ:それを感じるのって大体現場なんですよ。現場は正直、想像と違うことが連発し、その上、想像すらしていなかったトラブルまで起きてしまう、言ってみれば対応力を問われる日々なんです。ただ、その日しかスケジュールがない…、天気はどうにもならない…など、受け入れざるを得ない事だらけなんですよね。時には、妥協とは言いたくないですが、諦めなくてはならないことが起こります。では、どこで取り戻すのかというと、編集なんです。自分は編集も担うので、そこで計算するんです。現場で出来なかった事、諦めた事は、編集でどうにかフォローできるかどうかを。


例えば、ひとつの絵の中で、どこかが失敗していたとしても、そこに目線を行かせない編集は作れるんです。人間の意識はいくつかの要素に引き付けられるようになっているので、目線を誘導する事は可能なんですね。こういう裏話はあまりしない方がいいのかもしれませんが(苦笑)、自分が編集を担うようになって分かった事でした。それはこれまでの経験から学んだ事ですし、他にも色々な「編集における改善法」みたいな事があるんです。脚本も、現場の演出も、編集も、結局のところ自分なりの方法論を作り上げていく作業なんでしょうね。自分のスタイルを見つけるんだと思います。



『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』© 2025「THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE」製作委員会


Q:複雑な世界観と構成でしたが、最後は見事に収斂していく。編集は脚本通りだったのでしょうか。


オダギリ:ほぼほぼ脚本通りですが、いくつかのシーンでは脚本になかったものを撮影中に書き足して撮りました。それでも脚本の構成は大きくはズレていません。あとはテンポですかね。編集でスピード感やテンポを調整することで、受け取りやすさが改善される部分はあったと思います。やっぱり自分にとっては、編集で全てをまとめているんですよね。


映画の編集期間って通常は1ヶ月程度なんです。でもこの作品は編集に5〜6ヶ月かけています。ありがたい事ですけどね。ただ、それは間違えではないと思うんです。適材適所というのか、自分としては現場でお金を使い切るよりは、編集に長く入る方が、作品の質を上げられると思っているので、どこにお金を使うべきかというのは明確にしておいた方が良いと思います。




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