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『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』オダギリジョー監督 ドラマから映画へ、意識したものとは【Director’s Interview Vol.523】

『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』オダギリジョー監督 ドラマから映画へ、意識したものとは【Director’s Interview Vol.523】

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引き際の美学



Q:本作では脚本・監督・編集・出演を担当し、最近では『夏の砂の上』(25)でプロデューサーを担うなど、役者以外の部分で映画作りに向き合うことが増えています。ご自身のキャリアにおいて、この流れは想定されていたのでしょうか。また、今後はどう向き合っていくのでしょうか。


オダギリ:若いときは「監督になりたい」という、漠然とした夢みたいなものがありましたが、自分の立場をわきまえて、俳優1本で頑張ってきました。ですが、40歳を過ぎたあたりで、クリス(トファー・ドイル)から説得してもらった経緯もあり、ようやく腰を上げたのが『ある船頭の話』でした。そこで少し開き直れた部分があったんです。


とはいえ、これがまだ監督2本目。自分の納得できる映画が出来たかというとそんな自信もないし、才能の至らなさを強く感じざるを得ない部分もたくさんありました。今後どこまで映画作りに携わるかは、本当にわかりません。俳優としても、意味のある作品だけに関わっていきたいですし、いつまで気持ちが保てるかは分かりません。僕の中では、上岡龍太郎さんがキッパリと引退された美学みたいなものが強烈に残っているんです。自分も時代に合わなかったり、自分のやりたい事がズレたりしたならば、潔く身を引きたいと思っています。


夏の砂の上』では、プロデューサーを兼任し、幸いな事に、上海国際映画祭で審査委員特別賞を受賞する事ができました。もしかしたら監督よりも、プロデューサー的な立場で作品に携わる方が向いているのかもしれません。ただ、そうした世界的な評価と、国内の動員が一致しない事もまた事実なんです。日本映画の観客が何を求めているのか、それが自分の価値観と大きくかけ離れているならば、もはや映画から離れるべきなのだろうと思っています。


Q:現場を知っている以上そう簡単ではないのでしょうが、1作品でも多くまた観られることを期待しています。


オダギリ:ありがとうございます。そう言っていただけるのは嬉しいです。




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脚本・監督・編集・出演:オダギリジョー

1976年2月16日生まれ、岡山県出身。03年、黒沢清監督の『アカルイミライ』で映画初主演を果たす。以降、俳優として数々の作品に出演。北村龍平、崔洋一、西川美和、松岡錠司、石井裕也、犬童一心、阪本順治、山下敦弘、中野量太、鈴木清順、井筒和幸、冨永昌敬、三木聡、中島哲也、三谷幸喜、是枝裕和、青山真治、園子温、李相日、キム・ギドク、ユー・リクウァイ、カン・ジェギュ、ジェニー・シュン、クリストファー・ドイル、ロウ・イエなどなど、国内外問わず数多くの映画監督の作品に出演している。自身での監督作は『バナナの皮』、『フェアリー・イン・メソッド』(ともに自主制作短編)、『さくらな人たち』(09/中編)。連続ドラマ「帰ってきた時効警察」(07)第8話では脚本、監督、主演の3役を務めた。『ある船頭の話』(19)で初の長編映画を監督。第76回ヴェネチア国際映画祭・ヴェニス・デイズ部門に選出された。2021年には脚本・演出・編集を務めたオリジナルのテレビドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」が放送。「東京ドラマアウォード2022」では単発ドラマ部門作品賞グランプリ受賞、ギャラクシー賞月間賞を受賞した。今年公開された『夏の砂の上』(25)では主演と共同プロデューサーを務めている。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成


スタイリスト:西村哲也

ヘアメイク:砂原由弥(UMiTOS)




『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』

全国公開中

配給:エイベックス・フィルムレーベルズ

© 2025「THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE」製作委員会

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