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『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』オダギリジョー監督 ドラマから映画へ、意識したものとは【Director’s Interview Vol.523】

『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』オダギリジョー監督 ドラマから映画へ、意識したものとは【Director’s Interview Vol.523】

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手分けすることの重要性



Q:TVシリーズからのスプリットスクリーンの進化がものすごく、撮影の時点で計算していないと成立しないような複雑なショット構成もありました。具体的にどのように作っていかれたのでしょうか。


オダギリ:編集といっても、大きく2つの工程があるんです。1つ目が「オフライン編集」と呼ばれる、皆さんが想像しやすい、撮影素材を並べていく作業。もうひとつが「オンライン編集」と呼ばれる、映像自体に加工を施していく作業です。スプリットスクリーンのような作業は、「オンライン編集」の作業になるのですが、そこに「右腕」と呼んでいる編集者がいるんです。正木さんという方なんですが、オリバーのテレビシリーズの立ち上げから参加してくれている人で、いまやオリバーの世界観にはなくてはならない方なんです。「オフライン編集」で作品の方向性を決めた後、その後は「オンライン編集」で、化粧をしていきます。画面を分割したり、その分割した画面をさらに動かしたり、他に言えば、曇った空を青空にはめ替えたりとその作業は多岐に渡ります。オリバーの毛並みを整えてもらうこともあるし、見えてはいけないモノを消してもらったりもします。「オフライン編集」と「オンライン編集」にそれぞれこだわった結果、6ヶ月以上の時間があっと言う間に経ってしまうんですよね。



『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』© 2025「THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE」製作委員会


Q:CGを使ったショットも各所にありましたが、イメージの具現化からリアリティ、馴染みまで、その作業はいかがでしたか。


オダギリ:いや、本当に大変だったと思います。自分は修正箇所を伝える立場なので、それがどれだけ大変で時間を要する作業なのか、正直わからないじゃないですか。実際に作業にあたるスタッフはとんでもない人数がいて、ちょっとの変更だけでもすごい作業量になるんだろうし。たこ焼き世界に関しても、誰も最終予想図を知らないわけです…。自分が脚本を書いていた時のイメージをどう伝えれば良いのか、上がってきたイメージとどこが違うのか、丁寧に説明する必要がありました。加えて、撮影に入る前の事前打ち合わせの時点で、美術部、CG部、編集部とそれぞれのチームが一堂に会して、それぞれの仕事を手分けしたんです。美術セットでこの範囲は作っておいて、残りはCGで世界観を作り上げ、オンライン編集で最終的に調整する、といった作業分担を早めの段階で決める事ができたので、CGチームにばかり負荷がかかるようなことは避けることができました。手分けすることの重要性を改めて思い知らされましたね。


その辺りに関しては、演出部を『ある船頭の話』の助監督(松本さん)チームにお願いした事が大きかったのだろうと思います。どちらが良い悪いという話ではないのですが、映画の助監督チームなので、映画的な準備時間を確保してくれたんです。結果的に、準備の段階からそれぞれの作業を分担でき、そこに費やす労力を限定的に出来たことは、それぞれのスタッフのモチベーションにもつながったんじゃないかと思います。




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