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『愚か者の身分』永田琴監督 描きたかった若者の貧困、テーマが詰まっていた原作【Director’s Interview Vol.526】

『愚か者の身分』永田琴監督 描きたかった若者の貧困、テーマが詰まっていた原作【Director’s Interview Vol.526】

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関西弁の持つ強さ



Q:木南晴夏さん演じる由衣夏は“天然”に見えつつも芯のある性格の持ち主です。彼女のキャラクターに託したものを教えてください。


永田:由衣夏はこの映画のオアシス的存在です。彼女がいるからこそ、梶谷は弱いところを見せることができる。梶谷・タクヤ・マモルを許す存在でいて欲しい、その願いを由衣夏に込めました。由衣夏は大阪のお姉ちゃんで、おせっかいでほったらかしにできない人。梶谷に対しても「あんた、悪いことしてるの知ってんで」「でもあんたほんまはええ人やろ」とわかってくれている。この役は関西人じゃないと難しいと思ったので、関西出身の木南さんにやっていただきました。


Q:由衣夏の登場は一瞬ですが、かなりのキーマンになっています。


永田:一瞬しか出さないのは脚本の段階から決めていました。あの一瞬で引っ張っていけたのは、関西弁の強さもあるかなと。あの方言がキャラクターを引っ張ってくれている。木南さんは本当に素晴らしかったですね。



『愚か者の身分』©2025映画「愚か者の身分」製作委員会


Q:影響を受けた監督や映画を教えてください。


永田:私、ダンスの振付師になりたかったんです。この世界に入ったのも、ダンスの映像を撮るために勉強しようと思ったのがきっかけ。岩井俊二監督に助手として付きましたが、それまでは岩井作品を観たことがなかった(笑)。そんな状況大前提で、まず『コーラスライン』(85)という映画が好きです。ダンスのオーディションの物語で、それぞれのキャラクターがオーディションで自分の生い立ちを語っていく。語り聞かせだけで、その人たちの人生を全部見たような気になる。人が立体的に見えてくるところがとても好きでした。


もう一つは岩井俊二監督の『四月物語』(98)です。この映画を観て「私も日本で映画を作っていきたい!」と真剣に映画監督を志すようになりました。それまではハリウッド映画しか観たことがなかったのですが、この作品を観て「こんな小さな話でも映画にしていいんだ」「自分にもできるかもしれない!」と強く思ったんです。ま、そう簡単ではなかったのですが・・・笑。




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監督:永田琴

大阪府出身。関西学院大学商学部卒業後、岩井俊二監督をはじめ数々の撮影現場で助監督経験を経て、2004 年にオムニバス映画『恋文日和』で劇場公開デビュー。以降、映画『渋谷区円山町』『Little DJ~小さな恋の 物語』(07)、『全員、片想い』(16)、WOWOWドラマ 東野圭吾「分身」(12)、「変身」(14)、「片想い」(17)、テレビ ドラマ「イタズラな Kiss Love in TOKYO」(13/フジテレビ TWO)、配信ドラマ「東京ラブストーリー」 (20/FOD・Amazon Prime Video)、ドラマ「ライオンのおやつ」(21/NHK BS プレミアム)などを手掛ける。加えて資生堂・ネスレ、ワコールといった企業ブランディング映像として短編を制作するなど、活動は多岐にわたる。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『愚か者の身分』

10月24日(金)全国公開

配給:THE SEVEN ショウゲート

©2025映画「愚か者の身分」製作委員会

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