向かって左から撮影監督:青木穣氏、蔦哲一朗監督
『黒の牛』蔦哲一朗監督 × 撮影監督:青木穣 5年かけたロケハン、天候待ちに1年、65ミリフィルムでの撮影、妥協なき映画作り【Director’s Interview Vol.534】
5年かけたロケハン
Q:ロケハンはどのように行なっているのでしょうか。フィルムコミッションなどから情報を得ているのですか。
蔦:フィルムコミッションに頼ることはあまりないですね。基本は自分でドライブして探しています。Googleマップで目星をつけて、手当たり次第に当たっていきます。そうやって走りながら良いところがあったら都度止まって見ていく。その繰り返しですね。
Q:多くは四国で撮影されたそうですが、監督は四国出身ということで土地感があったのでしょうか。
蔦:土地感もありますが、基本は行ったことのない場所ばかりです。やっぱりGoogleマップの活用がメインですね。最初は京都で撮る予定だったので京都を中心に探していました。(スマホを見せながら)この地図の赤いピンは全て京都で回ったロケ地の候補です。茅葺きの家と田んぼがセットである場所を理想として探していましたが、今の時代はどこも電線が引いてあったり、観光地ぽい雰囲気が出てしまったりと、理想に合致する場所はなかなか見つかりませんでした。

蔦監督のGoogleマップには多数のピンが付けられている
Q:どれくらいの期間、ロケハンされたのでしょうか。
蔦:今回は完成までに8年かかっていて、そのうちの5年間は出資集めの期間でした。その間、同時進行でロケハンもしていたので、5年間くらいロケハンをしていたことになりますね(笑)。最初の1〜2年は京都で探したのですが、理想の場所も見つからず京都で出資を募れる感じも無かったので、京都は諦めて別の場所を探し始めました。山形・庄内のオープンセットを見たり、長野の方にも行ってみましたが、どこも完璧な場所はなかった。だったら自分の地元の方が良いのではと切り替えました。地元では協力得やすい家柄なので*(笑)。
*蔦監督の祖父は、徳島・池田高校野球部を甲子園常連校へと導いた名監督・蔦文也氏で、地元の著名人。

『黒の牛』©NIKO NIKO FILM / MOOLIN FILMS / CINEMA INUTILE / CINERIC CREATIVE / FOURIER FILMS
Q:そうした妥協なきロケハンで納得のいく場所が見つけられたと。
蔦:リー(・カンション)さんと牛が雨の中で延々と畑を耕しているカットがあるのですが、まずはそれを撮りたかった。あのカットは映画の核になるので、そこをちゃんと撮ることができたのは大きかったですね。