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シリーズ60周年!テレビサイズの脅威・怪獣ゴメス【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.71】

シリーズ60周年!テレビサイズの脅威・怪獣ゴメス【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.71】

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既視感と新鮮さを併せ持つゴメス



 今年2026年の1月で特撮ドラマ『ウルトラQ』(66)が60周年を迎えたそうだ。もちろんその後番組として直後から始まった『ウルトラマン』(66~67)もまた同様で、さらにはそこから現在まで連なるウルトラシリーズ全体の60周年ということにもなるのだが、ここでは全ての原点である『ウルトラQ』、その第1話『ゴメスを倒せ!』に注目したい。


 わかりやすいタイトルが示すように、ゴメスという怪獣が脅威として現れる。しかし、この最初から倒されることが約束されている怪獣には、不思議な印象がまとわりつく。東海弾丸道路(現実でいうところの東名高速道路)のトンネル工事現場の地中から目覚めた古代怪獣の姿は、ひと目で凶暴そうだと感じられるが、同時にどこか見覚えのあるシルエットでもある。怪獣としては決して斬新な印象ではないだろう。身体はウロコに覆われ、頭部には3本もの角、口の両端にもそれと同じくらい大きな牙が1本ずつ生えている。まさに人々が怪物、怪獣として想像する姿である。なるほど倒さなければならない相手だと直感的に理解できるだろう。そして、佇まいに見覚えがあるのは当然だ。なんと言ってもそのベースは怪獣王ゴジラなのだから。


 60年前のお正月、ブラウン管に初めて現れた新怪獣ゴメスは全くの新造形ではなく、既存のゴジラのスーツを改造して生み出された怪獣だった。ベースとなったのは『モスラ対ゴジラ』や『三大怪獣 地球最大の決戦』(ともに64、1年に2本!)でのスーツとされている。ボディの上からウロコや巨大な甲羅が貼り付けられ、角や体毛といったゴジラには絶対にない特徴を追加することで別の怪獣に仕立て上げられたわけである。すでにアイコニックな怪獣として確固たる地位を持つゴジラの、絶対安定の圧倒的存在感を借りた上で、新しい怪獣が生み出されたという格好となる。ちなみにスーツアクターも当然のようにゴジラ俳優の中島春雄だ。さらにその後このスーツをルーツにウルトラ怪獣ジラースも生まれることになるがまた別のお話ということに。

 

 そうして生まれたゴメスは、既視感と新鮮さを持ち合わせることになった。だからこそ、観る者に「倒さなければならない怪獣」と「馴染みのあるスター的な怪獣」の両方を自然に感じさせるのだろう。ぼくはこの、ゴジラのようでゴジラでない独特の姿が大好きである。今では唯一無二の姿が、容易に元に戻せるようにと工夫された改造から生まれたというのがまたいい。





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