思考や感情、身体感覚に正直でいたい
Q:分かりやすく明快な物語ではないからこそ、自身で考えることの重要性を感じました。
空:観客に考えさせることを目的としているわけではないのですが、自分たちの中には思考があり、感情や身体感覚がある。それに正直でいたいんです。自分の力強い体感や感覚に正直でいることが、結果的にいい映画に繋がっていくと信じています。例えば、現実に起きている虐殺や各地のニュースに、僕のその日の気分は直結しています。そういう正直な状態で作品を作ると、自然とこういう形になってくる。自分たちがどれくらいの時間を費やして何を考えているのかが、無意識のうちに映画に表れてしまう。安藤さんも同じようなことを考えていたと思いますね。楢崎さんともパレスチナを通じて出会ったと言っても過言ではないですし、それぞれ近しいことを考え、共鳴していたのだと思います。
Q:最後に、短編映画作りの魅力について教えてください。
空:小さな予算や短い期間でできること、そして立ち上がりから撮影、編集までをスピーディーに行える点です。自分の気持ちやモチベーションが冷めないうちにパッと表現できるし、長編ほどの大きなリスクがないため、撮り方や表現の手法で色々と実験ができます。新しい体制やスタッフで臨むことにも向いていますね。
ただ、それぞれの物語やアイデアには「適した尺」が絶対にあるので、それを探っていくのが正しいやり方だと思っています。アイデアの段階で「これは長編じゃないと無理だ」と思うものもあれば、「短編の方がいい」というものもある。今回の作品が短編になったのも、元のアイデアに忠実に従った結果です。
『まっすぐな首』を今すぐ予約する↓

監督/脚本:空音央
東京とニューヨークを拠点に活動する映画監督、アーティスト、翻訳家。映画監督として、短編劇映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオ、そしてコンサート映画など、多様なジャンルの映像作品を手がけている。短編映画『鶏/The Chicken』は、志賀直哉の短編小説を原作とした作品で、2020年のロカルノ国際映画祭でプレミア上映された。その後、同年のニューヨーク映画祭など世界各地の映画祭で上映され、ヴァラエティ誌やカイエ・デュ・シネマ誌にも取り上げられた。近年では、Filmmaker Magazine 誌によって「インディペンデント映画界の新たな顔25人」の一人に選出されている。また、2022年にはサンダンス映画祭の脚本・監督ラボのフェロー(選抜参加者)となる。初の長編劇映画『HAPPYEND』は、2024年のヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され、その後も世界各地の映画祭で上映が続いている。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『まっすぐな首』(『ショート・パルス5つの鼓動』)
3月6日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
提供:JAIHO 配給:グッチーズ・フリースクール