ヨルゴス・ランティモスにジョナサン・グレイザー、現代映画を牽引する監督たちによる短編映画5本をひとつに束ねた『ショート・パルス 5つの鼓動』が公開される。その中の1本『まっすぐな首』は、『HAPPYEND』(24)で鮮烈な長編劇映画デビューを飾った空音央監督が、安藤サクラを主演に撮った短編作品。ある日突然首が痛くなった女の話を、独特の世界観と映像表現で描いている。空監督はいかなる思いで『まっすぐな首』を作り上げたのか。話を伺った。
『まっすぐな首』あらすじ
夢から目覚めると、首に激しい痛みが走っていた。女(安藤サクラ)はいつもの朝の支度をしようとするが、日常のささいな動作すら困難で、痛みは容赦なく彼女を蝕んでいく。断片的な記憶、悪夢の残響、そして“動く”という行為そのものとの闘いに引きずり込まれていく、シュルレアリスム的オデッセイ。
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提示されたテーマ「身体性」
Q:今回は5本の短編を集めた企画上映ですが、面白いラインナップですね。
空:恐れ多いくらいの監督が名を連ねている中に、僕の作品が入っていいのかなと(笑)。ヨルゴス・ランティモスにジョナサン・グレイザー、アリーチェ・ロルヴァケルも入っている。すごいラインナップですよね。
Q:『まっすぐな首』はどういった経緯で作ることになったのでしょうか。
空:短編映画なども作っている「NOWNESS CHINA」というメディアから、安藤サクラさんを特集するので、“身体性”というテーマで安藤さんを撮ってほしいと。しかもそのテーマがあれば後は何を撮っても自由だと。「ぜひやらせてください」とお返事し、オンラインで打合せしたのち、安藤さんと直接お話ししました。それがきっかけでしたね。たまたまその時期に、友人の楢崎萌々恵さんのショートグラフィックノベル「I will go ahead」を読んでいたこともあり、このグラフィクノベルを今回の企画と合体させたら…!と思いついたんです。

『まっすぐな首』(『ショート・パルス5つの鼓動』)
Q:「NOWNESS CHINA」とは繋がりがあったのですか。
空:NOWNESS CHINAからは数年前から何度か依頼を受けていたのですが、『HAPPYEND』の撮影タイミングと重なったりして、なかなか受けられずにいました。 是枝裕和監督が特集された際も「是枝監督の1日を追うドキュメンタリーを撮って欲しい」と頼まれたのですが、それもお受けできず…。その数年後に今回のお話をいただいたという流れでした。
Q:楢崎さんの原作使用許可はすぐに出たのでしょうか。
空:そうですね。「もちろん!」と快諾していただきました。実際のグラフィックノベルはもう少し長くて内容があるのですが、その核となる部分を抜粋して使わせてもらいました。