© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
『オールド・オーク』ケン・ローチ監督 相反する者たちも共鳴できる【Director’s Interview Vol.544】
先人の積んだレンガを積み続ける
Q:あなたにとって生涯忘れられない、影響を受け続ける映画作家や作品は何でしょうか。
ローチ:インスピレーションを与え続けてくれるのは、自分が映画制作を始めた初期の頃に観た作品です。60年代のチェコ映画は大好きです。控えめで人間味にあふれ、心を揺さぶられる。もちろん、『自転車泥棒』(48)などイタリアのネオリアリズモ映画からも圧倒的な感動を与えられます。彼らからは、労働者階級の苦闘を描いた映画を作ってもいいのだと教えられた。彼らがその最初のレンガを積んだのです。ですからわたしたちがそのレンガをさらに積み続けることができれば、それは素晴らしいことです。他にはジッロ・ポンテコルヴォの『アルジェの戦い』(66)、エルマンノ・オルミの『木靴の樹』(78)なども素晴らしい。わたしが何度も観直すのはこれらの作品です。

『オールド・オーク』© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
Q:本作を最後に引退されるという噂がありますが、本気で考えていらっしゃいますか。
ローチ:これからまた長編を撮るかどうかはわかりません。映画について話す情熱はあっても、映画を撮るということは肉体的にはかなりきつい仕事ですから。まるで老いた競走馬が障害物のあるレースコースをもう一度走ろうとしているようなものです(笑)。先のことはわかりません。とても創造的なスタッフに恵まれて、これまで信じられないほどの幸運に恵まれてきましたから、自主的にやめる理由があるわけではないですが。
Q:あなたはカンヌ国際映画祭で二度パルムドールを受賞されている数少ない監督のひとりですが、カンヌはあなたにとってどんなところですか。
カンヌは世界中から監督たちが集まり、出会い、交流を深める場所。世界最大の映画のイベントです。ですからわたしにとってここに招待されることはとても光栄なことですし、いつも本当に温かく応援してもらっている印象があります。カンヌは港に停泊する豪華なヨットの祭典ではありません。みんなが映画への情熱に溢れ、語り合い、インスピレーションを与え合う場所だと思います。そしてあなた方ジャーナリストたちに出会う場所。あなた方が自らの経験を通して作品を消化し、人々に伝える。もちろん批判的に捉えることもあるでしょう。でも共有できるものを見つけ出し、物事を掘り下げ、論じ合うことはとても大切だと思います。わたしはあなた方の仕事にいつも感謝しています。
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監督:ケン・ローチ
英ウォリックシャー州出身。オックスフォード大学に進学後、BBCでテレビドラマやドキュメンタリーを手掛ける。67年、『夜空に星のあるように』で映画監督デビューを果たし、続く『ケス』(69)も高い評価を得る。『麦の穂をゆらす風』(06)、『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)でカンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを2度受賞している。近作は2019年カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた『家族を想うとき』。
脚本:ポール・ラヴァティ
1957年インド・カルカッタ生まれの脚本家。『カルラの歌』で、ケン・ローチ監督と初タッグを組む。『SWEET SIXTEEN』でカンヌ国際映画祭脚本賞、『この自由な世界で』でベネチア国際映画祭脚本賞を受賞。『家族を想うとき』で英国アカデミースコットランド賞脚本賞を受賞した。
取材・文:佐藤久理子
パリ在住、ジャーナリスト、批評家。国際映画祭のリポート、映画人のインタビューをメディアに執筆。著書に『映画で歩くパリ』。フランス映画祭の作品選定アドバイザーを務める。
『オールド・オーク』
4月24日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
配給:ファインフィルムズ
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023