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『シラート』オリベル・ラシェ監督 リスクを恐れず、身体に浸透する映画を【Director’s Interview Vol.556】

『シラート』オリベル・ラシェ監督 リスクを恐れず、身体に浸透する映画を【Director’s Interview Vol.556】

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失踪した娘を探すため、砂漠のレイブパーティに参加した父と息子だったが──。カンヌ映画祭で審査員賞ほか4冠を達成した本作は、ヨーロッパ映画賞、スペインのゴヤ賞などでも多数の賞を獲得。米アカデミー賞では5部門でショートリスト入り、国際長編映画賞のほか、女性だけで構成された音響チームとして史上初めて音響賞へのノミネートを果たした。本国スペインでは異例の大ヒットを遂げ、フランス、イタリアなど公開の始まった各国でも立て続けに大ヒット。批評家と観客、双方から熱狂的な支持を集めている。


ネタバレ禁止の衝撃展開も話題の本作だが、オリベル・ラシェ監督はいかにして映画『シラート』を作り上げたのか。昨年の東京国際映画祭で来日したオリベル・ラシェ監督に話を伺った。



『シラート』あらすじ

砂漠で行われるレイブパーティに参加したまま失踪した娘を探すため、父ルイスと息子エステバンは、モロッコの山岳地帯から砂漠の奥深くへと車を走らせる。行き着いたのは、現実と幻覚が混濁するような野外レイブのカオス。耳をつんざく重低音、赤い照明の海、沈黙を貫く父親の背中。だがそこにはすでに娘の姿はなく、父と息子は、レイブの参加者グループを追って、娘が向かったと思われる次のレイブ会場を目指すことになるが……。


Index


観客は同じ映画を観ることに疲れている



Q:予想を裏切る衝撃的な内容でしたが、この物語の着想について教えてください。


ラシェ:このアイデアがどこから生まれたか。それを話すには3時間は必要ですよ(笑)。


これは非常にリスクの高い映画でした。多くの映画監督がすべてを計算し測定するような時代に、どのようにしてこの映画を完成させることができたのか。完全な失敗に終わる可能性もありましたし、観客が怒り出し、映画館から出て行く可能性もありました。私たちにも疑念や恐怖はありましたが、「この映画を作る意図は良いものだ」と信じました。つまり、恐怖を天秤にかけ、私たちは深淵へと身を投じたのです。


昨今、多くの映画がまるでChat GPTによって作られたかのように見えます。リスクがほとんどなく、常に同じような映画ばかり。しかし『シラート』は、非常に過激でありながら、同時に大衆的であることを成し遂げました。フランスやスペインの映画館では大ヒットしていますが、それは人々がリスクを求めているという証拠です。人々は違うものを観たいと思っていて、いつも同じ映画を観ることに疲れている。自由を求めているのです。


Q:確かにAIにはこんな映画は作れないですね。


ラシェ:パソコンから煙が出るでしょうね(笑)。



『シラート』© 2025 LOS DESERTORES FILMS, A.I.E., TELEFÓNICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.,FILMES DA ERMIDA, S.L., EL DESEO DA, S.L.U., URI FILMS, S.L.,4A4


Q:とても自由に作られている印象を受けましたが、タイトルの『シラート』(アラビア語で“道”の意味)はプロデューサーから「売りにくい」と懸念があったそうですね。商業的視点におけるプロデューサーとのせめぎ合いはありましたか。


ラシェ:私は良い環境に恵まれていました。良いプロデューサーに囲まれ、私自身も共同プロデューサーとして名を連ねています。彼らは感受性が豊かで、最高の映画を作りたいと願う人々でした。


監督とは、最終的には人々を説得して魅了し、自分が成し遂げたいことを信じてもらう必要があります。これまで私はシステムの枠外で映画を作ってきました。プレッシャーはありましたがそれに耐え、保守的な決定を下すことはありませんでした。撮影の直前になると、多くの映画監督は失敗への恐怖からプレッシャーに耐えられなくなり、自分自身を裏切ってしまうものです。それに対抗すべく、私はいつも「これが最後の1本になるかもしれない」という思いで映画を撮っています。


デビュー作は2万ドルで撮った作品でしたが、その映画がカンヌ映画祭に行って賞を獲得したおかげで、私に力と自由を与えてくれました。




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