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『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』<4Kリマスター版> 橋口亮輔監督 元気あふれる人間賛歌、圧倒されるエネルギー【Director’s Interview Vol.576】

『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』<4Kリマスター版> 橋口亮輔監督 元気あふれる人間賛歌、圧倒されるエネルギー【Director’s Interview Vol.576】

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いきなり個人的な話で恐縮だが、『ぐるりのこと。』(08)を映画館で観て、橋口亮輔監督作の面白さにすっかり魅了された筆者は、「他の橋口作品も観たい…」と激しく渇望。居ても立っても居られずレンタルビデオ店へ『ハッシュ!』(01)のDVDを借りに走った。


早速観た『ハッシュ!』だったが、そのあまりの面白さに呆然としてしまい、すぐさま再生ボタンを押して最初から観直してしまうことに…。一泊二日で借りたDVDは翌日の仕事帰りに返却する予定だったが、どうしても手放すのが名残惜しく、帰宅途中に近場のネットカフェへ駆け込んでパソコンで再生。結局立て続けに3度も『ハッシュ!』を鑑賞することとなった。後にも先にも、こんな体験をした作品は他にはないーー。


そんな衝撃的な面白さを持った傑作二本が、この度4Kリマスター版としてスクリーンに帰ってくる! 当時の橋口監督はいかなる思いでこれらの作品を作ったのか。監督本人にたっぷりと話を伺ったロングインタビュー、ぜひお楽しみください。



『ハッシュ!』あらすじ

土木研究所で働く勝裕(田辺誠一)はゲイであることを他人に気づかれないよう注意しながら生きている。ペットショップで働く直也(高橋和也)は明るくゲイライフを満喫しているが、どこか虚しさを抱えている。歯科技工士の朝子(片岡礼子)は自己肯定感の低さから愛のないセックスを繰り返し、孤独感を募らせている。カップルとなった勝裕と直也のもとに、朝子が現れ、「付き合ってくれとか、結婚とかじゃなく、あなたの子どもがほしい」と勝裕に持ちかける――。


『ぐるりのこと。』あらすじ

生まれたばかりの子の死をきっかけにうつになる妻・翔子(木村多江)と、彼女にただ寄り添いつづける法廷画家の夫・カナオ(リリー・フランキー)。何があっても決して離れない一組の夫婦の、バブル崩壊後の90年代初頭から9.11テロに至るまでの10年を、90年代に世間を震撼させたさまざまな社会的事件を背景に描く物語。


Index


25年ぶりに観直した自作



Q:『ハッシュ!』は公開から24年、『ぐるりのこと。』は公開から18年が経ちます。昔の作品が再びスクリーンに帰って来ることになりましたが、今の思いはいかがですか。


橋口:急に「4Kになります」と言われて、最初は「ええー!?4K?」って(笑)『ハッシュ!』のあとに体調を崩して鬱になったこともあって、『ハッシュ!』の方は25年間ほとんど観てなかったんです。それで「4K版をチェックしてください」と言われて、改めて2作続けてしっかりと観たわけですが…、自分で言うのもなんですが、これがまあ素晴らしくて。かなり時間が空いたこともあって、「これ誰が作ったの?完璧じゃん」って。超傑作でしたね(笑)。


しかも4Kで画面が綺麗になったから、長回しの引きの画面でも、前にいる俳優さんも後ろにいる俳優さんも皆表情がクリアに見える。画面の情報量が多くなっているんです。俳優さんが繊細に芝居を組み立てているのが、全部きっちりと確認できる。作っていた当時はわからなかったけど、こんなにいい芝居をやってくださってたんだなと、改めて気づきました。しかも映画そのものが元気いっぱい。僕もまだ元気でしたね(笑)。画面から伝わってくるエネルギーに「うわ!」と思った。すごい映画だなぁと、自分のことながらちょっと感動しました。



『ハッシュ!』©2001 SIGLO


Q:両作とも35mmからの4Kリマスターでしょうか。


橋口:両方とも35ミリです。だから相当綺麗になっていますね。最近は4Kリマスターが割と多くて、Amazonプライムでは4K版の『仮面ライダー』が観られるんです。『仮面ライダーV3対デストロン怪人』(73)なんて、綺麗でびっくりしますよ(笑)。これまでの東映って汚いザラザラのまんまでDVDを出したりとかしていましたが、それが4Kになってる。低予算で作られていたような仮面ライダーシリーズの映画でも、クオリティが何倍にも上がったように感じますからね。


Q:数年前の映画祭で、デジタルで撮られた配信作品と『ハッシュ!』をスクリーンで続けてみたことがあるのですが、質感が全然違うことに驚きました。


橋口:そうなんですよね。やっぱり“フィルムの力”というものがあるなと、この両作を観て改めて思いました。特に照明がいい。2作とも大ベテランの照明技師・矢部一男さんにやってもらっていまして、矢部さんは『幕末太陽傳』(57)から照明に携わっている方なんです。特に『ハッシュ!』の照明はデジタルでは出せないだろうなと。そんなことも感じましたね。




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