チームで作り上げたキャラクター
Q:田治見要蔵という強烈なキャラクターを、その迸る狂気からビジュアルまで、どのように作り上げたのでしょうか。
滝藤:僕自身は何もしていないんです。ホラーに精通したマニアックな演出チームがいて、神楽の面から衣装まで全部用意してもらいました。僕は何かを表現しようとするよりも、走る時に「アキレス腱を切らないように…」と気をつけていたくらいです。50歳を目前に全力で走るのは大変なんです(笑)。衣装や小道具もとにかく重かったしね。お面の位置もシビアに決めていたのでスタンバイ中も気にかけていました。走るまでに体を冷やさないように、スタッフさんがストーブを持って体を温めてくれましたし、僕は清水監督から言われた「何かに取り憑かれたかのように引っ張られる」という感覚だけで動いていました。だから、自分ではあんまり何もやっていないんです(笑)。
Q:キャラクターについて清水監督と話し合ったことなどはありましたか。
滝藤:細かな演出は特になかったですが、「奇を衒わない」という共通認識はありました。こういう役だからといって、おかしなことをしようとは思わないし、清水監督もそれは望んでいません。本当にチームの皆さんに助けられて、僕はあの格好とメイクで撮っていただいたという感じです。あとは観てくださるお客様がどう感じるかですね。僕らが説明しすぎない分、いろいろなことを想像していただけるかなと。「こういう気持ちで演じています」と提示してしまうとそれしか見えなくなりますが、何を考えているのかわからない方が、想像の余地が広がると思います。

『八つ墓村』©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo Seishi/KADOKAWA
Q:ハイスピード撮影によって衣装や小道具の重量感が増し、恐ろしい圧力を醸し出していました。
滝藤:なるほど、そう見えましたか(笑)。面白いですね。確かに身につけているものが軽かったら、すぐバレますからね。「リュックに荷物入ってねえじゃん」とかね。本当にガチで重かったです(笑)。でも、その重さに引きずられるというよりは、重さすら凌駕して走っていくような感覚がありました。そこは本当に重かったからこそ、あの圧力が出たのだと思います。
Q:鍾乳洞のシーンでのモニターチェックで「そこに要蔵がいた!」と感じられたそうですね。客観的に見たご自身の姿はいかがでしたか。
滝藤:普段はモニターチェックを一切しないんですが、あの衣装とメイクでどう映っているか少し気になって見てみたんです。「大丈夫かな?」と少し半信半疑なところもありました。鍾乳洞のシーンは「フッと振り向いてくれればいい」という演出だったので、言われるがままに振り向いて、その後モニターを見たら、鳥肌が立つくらい「めっちゃいい!」と思って(笑)。「スタッフの方々、すげえな」と感動しました。
僕の芝居云々より、メイク、衣装、照明、カメラ、演出、ロケ場所……すべてを作り上げているチームの力が凄くて、「すごいチームに助けられているな」と。鍾乳洞のシーンはまだ撮影の最初の頃で、「俺たちは本当に『八つ墓村』という巨大な相手と戦えるんだろうか」と不安だったのですが、その1カットを見て「このチームなら凄いものができる」と確信しました。