三者三様、まったく違う人生を歩む3人の「さとこ」たち。それぞれに降りかかる出来事や出会いをきっかけに、自らの人生を“物語”として書き始めたとき、3人の人生がほんの少しだけ交錯し始めるーー。沖田修一監督の完全オリジナル最新作『さとこはいつも』で描かれるのは、普通の人たちの“物語を作ろうとする気持ち”。有村架純、石田ひかり、そして姫野花春という魅力的なキャスティングが、世代の違う女性たちの日常を見事に体現している。もちろん、沖田監督ならではのユーモアも絶好調!
デビュー20周年を迎える沖田監督はいかにして本作を作り上げたのか。話を伺った。
『さとこはいつも』あらすじ
同級生に恋する鼻炎持ちの中学3年生・ソフト部所属の中井聡子(15歳 演:姫野花春)。姪っ子と韓国カルチャーLOVE!映画配給会社の宣伝部でバリバリ仕事しつつ、6年目になる不倫が倦怠期を迎えている西田沙都子(35歳 演:有村架純)。子育てがひと段落、ようやく自分の時間ができた飯島里子(55歳 演:石田ひかり)。三者三様、まったく違う人生を歩む【さとこ】たち・・・。それぞれに降りかかる出来事や運命的な出会いをきっかけに、自分の人生を“物語”として書き始めたとき、3人の「さとこ」たちが少しずつめぐり合っていきーー!?
今回は動画版インタビューも公開! あわせてお楽しみください!
Index
普通の人たちの「物語を作ろうとする気持ち」
Q:「書くこと」や「ものづくり」がテーマになっていると感じましたが、この題材を選んだ理由を教えてください。
沖田:だいぶ前からこういうことをやりたいと思っていたので、もう出発点を忘れてきちゃっているのですが…。女性が自分で物語を書こうとする話をやりたくて、それが言葉にまつわる話でした。女性が書いていく“行方”のようなものが面白いなと。世代の違う女性たちの交流の話からどんどん形を変えて、最終的には、その女性たちが1人の女性に見えるように錯覚するような、今の形になりました。
みんな、「何か書いてみようかな」と思ってもできなかったり、長いものは書けなかったりしますよね。でもそういう気持ちはどこかにあるんじゃないか。そんな普通の人たちの「物語を作ろうとする気持ち」を描いた映画を作りたいなと。それが根底にあった気がします。

『さとこはいつも』©2026 「さとこはいつも」製作委員会
Q:3人のさとこたちはそれぞれ自分のことを書き始めますが、「自分のことを語る」ことには監督・語り手としてどんな意味がありますか。
沖田:書くことで自分の気持ちが整理されていったり、「自分はこう思っていたのか」と気づくこともある。セラピーのような意味合いもあるでしょうし。
『南極料理人』(09)を撮った時は、舞台は南極だし南極観測越冬隊なんて自分の今までの生活とは全く縁のない世界のことでした。でもそれを映画にするとなると、どこかしらで自分の物語になっていく。例えば唐揚げの話などは、僕の母親のエピソードだったりするんです。それはどうしても避けられない部分があるんじゃないかなと。
自分のことが好きで「見てくれ」というのは押し付けがましくて嫌ですが(笑)、でも結局はそういうことになって、自分を晒していくような気持ちが、みんなが見たくなるものに繋がるのかなと思います。
Q:普通の人生が、なぜこんなにも面白い物語になるのかいつも驚きます。今回もまさにそうでした。
沖田:「ここからが俺の第2章だ!」とか言うじゃないですか(笑)。そういうことって、みんなどこかで思っているんだなと。もし自分の人生が本になるとしたら、今はどこの章になるのか、自分の生い立ちをどこから書こうかなど、考えたらちょっと面白いですよね。誰に読ませるわけではないかもしれないし、それが面白い作品になるのかもわからない。でも、出来の良し悪しは置いておいて、まずそれを考えてみたり書いてみたりするということが、原始的なフィクションの作り方なのかなと思います。