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『ナギダイアリー』深田晃司監督 意味もなく続いてしまう日常にこそ、本質がある【Director’s Interview Vol.591】

© 2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

『ナギダイアリー』深田晃司監督 意味もなく続いてしまう日常にこそ、本質がある【Director’s Interview Vol.591】

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深田晃司監督は再三、「作風を変えたつもりはない」と語っているのだが、『ナギダイアリー』はこれまでの深田作品とは異なる地平を見せてくれる作品だ。ナギという町に暮らす女性彫刻家と、彫刻のモデルになる元義妹の女性を中心に、静かな田舎町の人々の間に立つさざなみを丹念に映し出していく。もはや物語を語るためのあらゆるギミックから解き放たれたような新作映画について、監督自身の思いを聞いた。



『ナギダイアリー』あらすじ

自然豊かな町「ナギ」。この地でひとり創作に打ち込む彫刻家の寄子のもとに、弟の元妻で建築家の友梨が、休暇をとって東京から訪れる。義理の“元姉妹”である友梨をモデルに彫刻を制作する数日間。若くして妻を亡くした好浩、その息子の春樹と親友の圭太――。異なる場所で生きる寄子と友梨の再会は、穏やかだったナギの日常に小さな揺らぎをもたらしていく。


Index


平田オリザの戯曲「東京ノート」の精神的な続編



Q:『ナギダイアリー』は実現までかなり時間がかかった企画だと聞いています。


深田:過去のメールを遡ってみたんですが、自分が岡山県奈義町に初めて行ったのは2016年8月だったようです。だから、だいたい10年かかりましたね。


Q:最初は平田オリザさんの戯曲「東京ノート」を映画化するという話から始まったそうですね。


深田:はい。平田さんが奈義町で文化関係の仕事をされていて、奈義町で映画を撮れるんじゃないかという話になったんです。「東京ノート」は平田オリザさんの代表作で、東京の美術館を舞台にした演劇です。それを奈義町の美術館を使って映画にできるんじゃないかと。「東京ノート」が劇場だけじゃなく、美術館やホールなどいろんなところで上演されてきた経緯もあって、別の土地でも映画にできるんじゃないかという話が来たので、とにかく下見に行ってみた。それが、奈義町への最初の訪問でした。



『ナギダイアリー』© 2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.


Q:『ナギダイアリー』との共通点は、美術館と、義理の姉妹みたいな2人の女性が出てくるところでしょうか。


深田:もともと平田オリザさんは小津安二郎の『東京物語』(53)が大好きで、「東京ノート」は『東京物語』にインスパイアされて生まれたんです。地方出身の五姉弟、女性2人と男性3人が、年に一回東京の美術館で会って家族の時間を過ごしているという設定なんです。長女だけは田舎で親の介護をしながら過ごしていて、妹や弟たちは結婚したり仕事を持ったりして、東京で暮らしている。地方で生きるその長女と、東京で暮らしている弟や妹たちの対比が描かれるんです。


そして長女と弟の妻――長女から見れば義理の妹ですが、その2人の物語が核になっているんです。2人は仲がいいんだけれど、あるタイミングで弟の妻が「もう来年から会えないと思う」と切り出す。実は離婚寸前で「たぶん私たちは別れます」と。そうなるとこういった家族の集まりには顔を出せないから、もうこれで会えなくなるという話をして、別れを予感させて終わるという演劇なんです。


結局『ナギダイアリー』は「東京ノート」を原作にする企画とは離れて、オリジナルの物語を作ろうというところから始まっているんですけど。自分としては勝手に「東京ノート」に対する精神的な続編、一種のオマージュみたいな形で「長女と義理の妹が、離婚した後も会い続けていたらどうなるだろう?」という妄想を膨らませて作っていった感じです。





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