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『ナギダイアリー』深田晃司監督 意味もなく続いてしまう日常にこそ、本質がある【Director’s Interview Vol.591】

© 2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

『ナギダイアリー』深田晃司監督 意味もなく続いてしまう日常にこそ、本質がある【Director’s Interview Vol.591】

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「関係性の映画」を作る



Q:適当には省略しませんけども(笑)。これも外からの視点ではあるのですが、映画の序盤から、どこからか自衛隊の砲声が聞こえてくる。10年前に始まった企画だとわかっていても、昨今のご時世ではどうしてもゾッとしてしまうというか、奈義町を通じて世界の縮図を描いているようにも見えます。


深田:そうですね。ただ、それについては図らずもそうなったという要素も大きいんです。奈義町という町のある種のユニークさって、やっぱり自衛隊があることなんですね。私も奈義町に初めて着いた日に、戦車とすれ違うという経験をしました。


また、奈義町現代美術館も非常に面白い。山あいののどかな景色の中に、すごく幾何学的な現代美術館が唐突に現れる。あの感じもすごく面白い。また、奈義町って山に囲まれた山村ではなくて、地理的にも非常に開けているからか、地元の人も外から来る人に対して寛容というか、慣れてるんですね。


今では自衛隊の人たちも奈義町に来るし、当然地元の学校にも来る。ときには地元の人と結婚したりする。そうやって外から人が来て、去っていく感覚に昔から慣れている部分も含めて、不思議なところだと思いましたね。



『ナギダイアリー』© 2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.


実は「東京ノート」という演劇は、図らずも近未来が舞台で、ヨーロッパで大きな戦争が起きて、美術品が東京の美術館に避難してくるという設定なんです。五姉弟のうちの1人は兵器を作る軍需産業にも関わる仕事で、東京にいても、遠くで起きている大きな戦争の影響を受けているという内容だった。


私は奈義町に2016年から断続的に東京と行き来し、滞在もしていました。自衛隊の音を聞きながら脚本を開発していく中で、ウクライナとロシアの戦争が起きた。図らずも「東京ノート」の設定に現実が近づいてきた感じがしました。ウクライナとロシアの戦争が起きると、飼料が高騰して、奈義町で盛んな畜産にも大きな影響が出て、経営が苦しくなるところが増えていった。やっぱり戦争の影響を受けているんです。ロシアから戦争を逃れて避難してきた外国の方の姿も見ましたし、そういった背景も映画に反映されていった感じです。


Q:深田監督は一般的な「映画的な盛り上がり」とは違うところで作品を作ってきたと思うんですが、『ナギダイアリー』では物語性すらもどんどん不要になって、ほとんど事件らしい事件すら描いていない。深田監督もここまで来たのか!と驚きました(笑)。


深田:ベースの考え方として、自分が作っているのは常に「関係性の映画」だと思っているんです。観客をある登場人物に感情移入させたり、同化させて引っ張っていくよりも、登場人物同士の関係性や状況の変化を見せることで、お客さんの想像力にアクセスしたいという気持ちが強くあります。


映画は、メッセージやテーマで作るものではなく、カメラや作り手がモチーフとどう向き合っていくかが大事だと思っているんですが、特に今回の作品は、土地から企画がスタートしたことと、そこで流れている時間を描くというコンセプトから、いつも以上に自分がやりたい方向性が可視化されているのかなと。自分の中では『ほとりの朔子』(13)や『海を駆ける』(18)の系譜というイメージではあるんですけど。





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