1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『我々は宇宙人』門脇康平監督 無機物も有機物も贔屓せず描く 【Director’s Interview Vol.592】
『我々は宇宙人』門脇康平監督 無機物も有機物も贔屓せず描く 【Director’s Interview Vol.592】

『我々は宇宙人』門脇康平監督 無機物も有機物も贔屓せず描く 【Director’s Interview Vol.592】

PAGES


作画と背景の境界をなくす



Q:手描きやロトスコープなど、独特の表現が強く印象に残りました。この表現の採用はどのタイミングで決められたのでしょうか。


門脇:企画の頃には「こういう感じのデザインで、こういう動きで」というのは9割方決めていました。ただ、最終的に完成したものと同じ見え方にたどり着いたのは、企画してから2年後くらいでした。最初の段階で、試しに描いた原画を劇場で試写してみた結果、線が太く見えたり細く見えたりしたことがあり、線が細すぎたことに気付いたんです。そこから線を太く変更したりと、調整を重ねていきました。


Q:手描きの質感が強い印象を残し、膨大な作業量だったことが想像されますが、「全て手描きで制作される」ことは、最近のアニメ制作とは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。


門脇:最近は通行人や車など、作画カロリーが高いところをアニメ調の3DCGに置き換えることが多いです。今回はCGは使わず、あえて手で描くことを選んだので、より古典的な作り方に近い。一部ロトスコープを使っているところがあるので、そこは一般的な作り方とは違うかもしれませんが、基本的な作り方は昔風ですね。紙で描くか、デジタルで描くかの差はあれど、全部手で描くというのは今っぽくないのかもしれません。



『我々は宇宙人』©NOTHING NEW, MIYU PRODUCTIONS


Q:少人数でやるとなると、背景などはCGを活用して効率を求めたいところですが、あえて手で描いたと。


門脇:そうですね。自分が監督する時はその考え方は大事にしたいなと。今回はそれを実行しました。


Q:資料では「作画と背景の境界をなくした」とコメントされていますが、具体的にどのような作業をされたのでしょうか。


門脇:大前提として、色をちゃんと合わせることがあります。左から黄色い光が当たっていれば、キャラクターにも黄色い光が当たっているかのような影色を選ぶ。そういう基本的なことは当たり前にやりつつ、密度のムラ、粗密さをなくす作業を行いました。背景がこってりしているのにキャラクターがベタ塗りだと、浮いて間延びして見えるので、キャラクターにも必要な情報量を足していく。


あとは透明度ですね。透明にした時の印象がちゃんと馴染むかどうか。明度(白から黒までの階調)の画面への散り方を常に意識しています。例えば小学生のキャラクターを描いた時に、明度の中で暗いのはランドセルや髪の毛などですが、背景においては、奥に行けば行くほど黒い影はなくなって光に溶けていき、一番近いところほど暗い色になるという階調の流れがあります。その中にちゃんとキャラクターも乗っかる階調を選んでいく。そういった、明度の計画と透明の印象と密度、その調整を行いました。





PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『我々は宇宙人』門脇康平監督 無機物も有機物も贔屓せず描く 【Director’s Interview Vol.592】