120点が出る可能性
Q:監督の中では、画に関してこだわりたい部分やカメラマンと相談したい部分などがあるかと思うのですが、その辺りはいかがですか。
武中:監督の中でもいろんな棲み分けを持ってやっていると思います。みんなで相談しながら進められるチームだとは僕は感じているので、これからは「監督はこういうことがやりたいんだ」ということを、みんなで共有しながら作っていくことになるのだろうと。
天利:「段取り」という、撮影直前にリハーサルのような形で役者さんに動いてもらって、それをスタッフ全員で見ながら撮影方法を決めるやり方があるのですが、監督はそういう手法でやりたいと言っていました。もちろん、監督のイメージがある場合は事前に伝えてもらって、その方向性を実現するために様々な用意はしますが、そういった手法も取り入れつつ撮影するのだと、今からワクワクしています。
Q:テレビCMの撮影ではスケジュールの問題や無駄を省くために、画コンテがあってコンテ通りに撮っていきます。カット毎にカメラの動きを完璧に決めたり、前日にアングルを決めるアングルチェックもある。例えば、お金のかかるクレーンを用意しておいて「今日はこれは使わずにいこう」となったら無駄になるわけだから省く。でも今の話を聞くと、オールスタンバイで臨むということですよね。
天利:クレーンが必要な撮影などに関しては事前に色々と打ち合わせはしますが、ある程度適応できるようなシーンであれば、段取りを見て決める場合の方が多い気がします。役者さんが想像とは違う動きをする場合もたくさんあり、それが役者さんの考えるキャラクター表現だったりもするので、それを大事にして撮ることも多いです。
Q:その場合、費用面もかなり変わってくるのでしょうか。
武中:予算の制限はどうしてもあるので、その瞬間に現場にあるものでできるベストが何かを常に探っています。CMはコンテを書いて、コンテに向けてしっかり準備をして、画を撮る。それもすごい良さがあります。一つ一つのショットの準備を緻密にして、その中で100点を目指して作っていくのは面白いし、高いクオリティになるものが多い。
でも、映画で面白いのは、120点が出る可能性があること。その場でみんながベストの知恵を出し合ってなんとかやっていく、「その場での対応力」みたいなものが大事で、そこで生まれる奇跡がある。それも面白さの一つなのかなと思います。