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『本当にあった話(の話)』武井佑吏監督 解釈への様々な視点を肯定する 【Director’s Interview Vol.593】

『本当にあった話(の話)』武井佑吏監督 解釈への様々な視点を肯定する 【Director’s Interview Vol.593】

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鴻池留衣の同名小説を原作に、虚実が入り混じるスリリングな展開と独特のメタ構造を描いた映画『本当にあった話(の話)』。本作を手掛けたのは、テレビマンユニオンに所属し、普段はドキュメンタリー番組などを手がける気鋭の映像クリエイター・武井佑吏監督だ。長編映画デビューとなる本作には、水上恒司、黒木華、山下美月、小池栄子、佐々木蔵之介といった豪華キャスト陣が集結。演劇のオーディションから上演までのプロセスを緻密な脚色で再構築し、恐ろしくも滑稽な唯一無二のエンターテインメント作品へと昇華させた。


武井佑吏監督はいかにして『本当にあった話(の話)』を作り上げたのか。話を伺った。



『本当にあった話(の話)』あらすじ

今から数十年前に起きた衝撃的な事件。夫を殺害し、戸籍を引き継いだ男と夫婦生活を送る女が、新しい男と結ばれるためさらに殺人を繰り返した〈配偶者入れ替え連続殺人事件〉は、世間を震撼させた――。そんな実話にもとづく舞台劇の制作が決まり、殺害される主人公役に抜擢されたのは、演技経験のない夛田(ただ)だった。しかし役柄に自分の経験を重ね、深くのめり込んでいった夛田は、やがて虚構と現実の境界を見失い、ついに演じる人物と一体化してしまう。そして夛田の妄想は、舞台の関係者たちを巻き込み、すべてをぶち壊しにする。「おかしいのはお前たちだ! 僕は本当のことを言っているだけだ!」舞台の本番が間近に迫る中、夛田は制御不能に陥り、物語は予期せぬラストへ。何が本当で、何が嘘なのか?虚実が混ざり合う、恐ろしくも滑稽な舞台の幕が、今切って落とされる。


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映画制作への道のり



Q:この原作を映画にすることは監督の希望だったとのことですが、映画化はどのように進んだのでしょうか。


武井:大学時代から自主制作映画を撮っていたので、映画を作りたくてテレビマンユニオンに入社しました。ただ、自主制作に毛が生えたような予算で撮るのはもう嫌だなと。ある程度予算のある映画を作りたい。社内のプロデューサーに相談したら「だったら原作がないとね」と言われました。でも今回の原作となった「本当にあった話(の話)」は、そこまでベストセラーになっているような本ではありません。その点では、原作があることに意味があったのかよく分かりませんが(笑)。


原作者の鴻池留衣さんには、芥川賞候補になった「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」という作品で出会い、それ以降全ての作品を追いかけています。それくらい好きな作家さんです。ただ、「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」は、まるでWikipediaを読んでいるかのような体裁なので、映画化するにはレトリックが強すぎる。それで鴻池さんの作品の中から、今回の原作「本当にあった話(の話)」に挑むことになりました。



『本当にあった話(の話)』©鴻池留衣/文藝春秋/2026「本当にあった話(の話)」製作委員会


Q:その原作を社内のプロデューサーに持ち込み、話が進んだのでしょうか。


武井:プロデューサーに持っていったものの、原作者も監督も知名度が低いと。「映画化するには、名前のあるキャストが集まらないとGOがでない」という話になり、そこからキャスティングを動き始めました。出演者が集まるまでに2年くらいかかりましたね。水上恒司さん、黒木華さん、山下美月さん、小池栄子さん、佐々木蔵之介さんの出演が決まり、やっとGOが出ました。


Q:武井監督は学生時代に作った『赤色彗星俱楽部』(17)でPFFに入選されています。その実績の後押しはあったのでしょうか。


武井:そこはめちゃくちゃ大きかったですね。うちの会社には自主制作上がりの映画を撮りたい人たちが毎年入ってきますが、プロデューサーからすると本人に実績がないと企画を推すことが難しい。だからPFFの看板は使い倒しました。大変ありがたかったです。




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