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『わたしの知らない子どもたち』西川美和監督 子どもを描いて、大人を炙り出す【Director’s Interview Vol.595】

『わたしの知らない子どもたち』西川美和監督 子どもを描いて、大人を炙り出す【Director’s Interview Vol.595】

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西川美和監督5年ぶりの新作は、敗戦後の苛烈な環境を生き抜く子どもたちの物語。戦争ですべてを失った小学生の琴子は、髪を切り、名前を変えて少年として生きることを選ぶ——。オーディションで琴子役に抜擢された小八重葵美を中心に、二階堂ふみ、役所広司、田中裕子、岡田准一、竹野内豊、吉田羊、坂東龍汰など、日本映画界を代表する俳優陣が集結。VFXには白組が参加し、圧倒的なスケールとリアリティをもって戦後の日本を再現している。超一流のスタッフ・キャストの顔ぶれからは、1人でも多くの観客に本作を届けるようとする製作陣の気概が伝わってくる。


図らずも「戦争」という言葉が身近になってしまった今、この映画が世に出ていく意義はとてつもなく大きい。西川監督はいかにして『わたしの知らない子どもたち』を作り上げたのか。話を伺った。



『わたしの知らない子どもたち』あらすじ

琴子(小八重葵美)は、音楽家の父のもとで普通の暮らしをしていた少女。しかし戦争と敗戦によってすべてを失う。戦後の荒廃した東京で生き延びるために彼女が選んだのは、黒髪を切り、親からもらった名前を変え、そして、“少女”であることを隠し、少年として生きるという道だった。一方で、教師の曽根(二階堂ふみ)は、かつて軍国主義教育のもとで琴子に教える側だったが、敗戦とともに、生徒を棄て、恋人も、立場も、信念も、そして、女性としての尊厳もすべてを失っていく。ふたりは自らの生き方さえも手放しながら、それでもなお、今日という一日を生き延びていく。琴子は、少女を隠し“少年”としてどこへ向かうのか。曽根は、一度は棄てた生徒を見つけ出し、再び人として立ち上がれるのか。ふたりの歩みの先に再会はあるのか、再生は待っているのか。



今回は動画版インタビューも公開!あわせてお楽しみください!



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がむしゃらに生きる子どもたち 



Q:物語を作るにあたり、前作『すばらしき世界』(20)の原作「身分帳」(佐木隆三 講談社 / 90)の影響は大きかったのでしょうか。


西川:「身分帳」には、長期服役をして社会に出てきた男性の幼少期についても書かれています。当時は戦後で、母親から施設へ遺棄された後は、他の戦争孤児たちと一緒に施設を抜け出し、街で暮らしていたと。戦後のヤクザの世界に入っていった人たちは、一体どこから来てそういう社会に呑み込まれていったのか。もしかしたら、中にはそういう子どもたちもいたのかもしれない。その“からくり”が分かってきたんです。


できれば『すばらしき世界』は幼少期からやりたかったのですが、戦後から描くと製作予算もかかり、時間も倍になってしまう。そちらは諦めて、刑務所を出て社会復帰していくところにフォーカスして描くことにしました。ただ、戦後の社会に子どもたちが放り出され、犯罪に手を染めながらがむしゃらに生きていたことが自分の中で引っかかっていて、もう一度掘り起こしてみたかった。「身分帳」から影響を受けていた部分ではあるのですが、今度はまた別の物語として作り直してみたいなと。それが今回の発端でした。



『わたしの知らない子どもたち』©︎2026 K2 Pictures・AOI Pro.


Q:戦後の子どもたちのどこが気になっていたのでしょうか。


西川:「戦後の話をやろう」ということが先だったわけではないんです。『すばらしき世界』を作り終えた直後にコロナ禍になり、自分自身も非常に閉塞感がありました。行動も制限され人との交わりが絶たれる中、次にどういうものを作ったらいいのか。生きていることの楽しさも分からなくなるような日常だったので、あの時代にがむしゃらに生きていた子どもたちの姿を撮ってみたいなと。


ですから、戦争や孤児たちを背負う覚悟が最初からできていたかというと、そうでもありません。ただ、戦争孤児たちを描くにはどうしてもその前を一度掘り起こしてみないといけないわけで、なぜあんな戦争に多くの人が巻き込まれて、ああいう結果になり、そして戦後に何をもたらしたのか。そのことは、その後長い時間をかけて自分自身も考えていくことになりました。


Q:戦争を題材にした映画を撮りたいわけではなかったと。


西川:自分には難しいと思っていました。「誰か絶対にやった方がいい」とは思っていましたが、それを私が出来るだろうかと。そこで止まっていましたね。





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