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『プリンス/パープル・レイン』プリンス自ら完成させた自伝映画の最高傑作

(c)Photofest / Getty Images

『プリンス/パープル・レイン』プリンス自ら完成させた自伝映画の最高傑作

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自ら書いたプロット



 本作の大まかなプロットは、プリンス自身が手書きでノート11ページほどにしたためた。それは、こんな風に始まる。「これは、3人の夢と願望が描かれた物語」。本作にも登場するモリス・デイ、当時のプリンスの恋人ヴァニティ、そしてプリンス自身ーー。プリンスは、この3人を主役にした作品を考えており、当初付けられていたタイトルは『Dreams』。ちなみに、そのタイトルが暗示するように、プロットの結末は夢オチだった。もし読んでみたい方がいれば、プリンスの自伝「プリンス回想録 THE BEAUTIFUL ONES」(邦訳版は4/21発売予定)をおすすめする。


 その後、『ルーツ』(77)や『刑事スタスキー&ハッチ』(75-79)などのTVで活躍していたウィリアム・ブリンが脚本に参加して、プリンスのプロットを脚本に起こした。そして、大学を卒業したばかりのアルバート・マグノーリが監督・脚本で参加した頃に、当初出演を予定していたヴァニティとプリンスは別れてしまった。そこで抜擢されたのが、地元のミスコンテストで優勝し、NFLのチアリーダーをしていたアポロニア・コテロだった。



『プリンス/パープル・レイン』(c)Photofest / Getty Images


 同じ頃、本作の舞台ともなったクラブ、ファースト・アベニューにて、プリンスが「パープル・レイン」を披露していたこともあり、本作のタイトルが『パープル・レイン』となったという。


 本作の出演者たちは、実際にプリンスの周りにいた人々が多い。プリンスは「キッド」と役名に変えられているが、モリス・デイやジェローム・ベントンは本名で出演し、実際に「ザ・タイム」のメンバーである。クラブマネージャー役のビリー・スパークスも本名だが、実際にはプリンスの長年の友人でプロモーターだ。事実とフィクションが混在しているのが、本作の面白さの1つでもある。


 出演しているプロの役者は、プリンスの父役クラレンス・ウィリアムズ3世と、母役のオルガ・カルラトスくらいなものだ。クラレンス・ウィリアムズ3世は、60年代の人気TVシリーズ『モッズ特捜隊』(68-73)の主役の一人として人気の俳優で、最近ではデンゼル・ワシントン主演『アメリカン・ギャングスター』(07)にて、主役に大きな影響を与えるバンピー・ジョンソン役を演じていたので、覚えている方も多いだろう。



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