※2019年8月記事掲載時の情報です。
『ロケットマン』あらすじ
成功と快楽に溺れ、堕落した生活を送るエルトンを前に、バーニーさえも彼の人生から遠ざかっていく。絶望の淵に立たされたエルトンは、ライブ開始を待つ超満員のステージ裏で、ある選択をする。それは思いも寄らない形で、彼の人生を大きく変えていくことになるのだった。そして、今、感動のフィナーレの幕が開くのだった。
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まるでミュージカル作品のために作られたような名曲の数々
『ロケットマン』はミュージカルである。エルトン・ジョンの半生を描いたこの作品は、彼の名曲が単にバックに流れるのではなく、ステージでのパフォーマンスに加え、映画の登場人物が突然、歌い、踊り出す、ミュージカル的シーンがいくつも用意されているからだ。驚くのは、エルトンの曲が彼の人生のストーリーに、ぴったりとハマっている点。この映画のために作られたわけではないのに、代表曲の数々がミュージカルのサウンドトラックとして見事に再構成されている。
『ロケットマン』予告
意図しなかった使われ方でも、エルトンの曲はドラマチックな効果をもたらすので、多くの映画やドラマでも使われるのだろう。代表曲「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」が使われた映画やドラマは数知れず。日本映画でも織田裕二が主演した『エンジェル 僕の歌は君の歌』(92)では、主題歌に使われただけでなく、タイトルにまで引用された。
エルトン・ジョンと映画音楽の関係を過去にさかのぼると、一般的には忘れ去られた作品がある。1971年の『フレンズ』(『フレンズ~ポールとミシェル』)だ。恋におちた14歳の少女と15歳の少年のカップルが、自力で子供を出産するという、当時としては少々衝撃的な展開のイギリス映画。しかしこの映画、やはり同年にヒットした『小さな恋のメロディ』と同じように、公開時の日本では映画ファンの心をつかんだ。『メロディ』の日本公開が71年の6月で、『フレンズ』が11月。同じイギリス映画で、少年少女の純粋な恋愛→リアルな現実へのアップデートとしてリンクしたのである。ちなみに『フレンズ』の監督は、「007」シリーズ3作を撮った、ルイス・ギルバートだ。