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『ロケットマン』エルトン・ジョンとサウンドトラックのただならぬ関係

『ロケットマン』エルトン・ジョンとサウンドトラックのただならぬ関係

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自分の姿を重ねながら作ったと思われる、渾身の「ビリー・エリオット」



 そんなエルトンの真価が発揮されたのが、舞台「ビリー・エリオット」ではないだろうか。2005年、ロンドンで上演が始まったこのミュージカルは、劇場が改修工事に入る2016年までロングラン。ブロードウェイはもちろん、日本でも上演される名作となった。スパイダーマン役でスターになる前のトム・ホランドも、主役で舞台に立ったこの作品、基になったのは2000年の映画『リトル・ダンサー』(原題『ビリー・エリオット』)である。


 この映画に深く感銘を受けたエルトン・ジョンが、舞台化の際に自ら作曲に名乗りを上げただけあって、サウンドトラックはまさに魂が込もった仕上がりとなった。なぜこれほどまでに、主人公ビリー少年と彼を支えた人たちの心情が、メロディに宿っているのか。その理由は、今回の『ロケットマン』を観れば歴然である。



 「男がバレエなんて」と激しく反対されながらも、自分のやりたいことにのめりこむビリーは、エルトン・ジョンになる前の、少年時代のレジナルド・ドワイトそのものである。家族も自分を白い目で見るなか、祖母だけが少年の才能を信じ、背中を押す状況も似ている。


 『ロケットマン』の少年時代のシーンで、家族それぞれが代わるがわる愛について歌う「アイ・ウォント・ラヴ」は、「ビリー・エリオット」にエルトンが提供した曲と非常に似たテイストだったりもする。




 そして何より、映画『リトル・ダンサー』が出世作となったジェイミー・ベルが、『ロケットマン』でエルトンの盟友、バーニー・トーピン役で出演している点は重要である。エルトンのキャリアでターニングポイントとなった、1970年、LAのライブハウス、トルバドールでのステージの後、パーティのシーンで、エルトンがバーニーを見つめながら流れるのが「Tiny dancer 可愛いダンサー」。そこには、『ロケットマン』から離れて、ジェイミー・ベル=ビリー少年への愛を感じとることが可能だ。



 『ロケットマン』では、「ユア・ソング」が完成した経緯も描かれ、そのシーンからはエルトンとバーニーの生涯続く絆を強く感じられる。その直後に2人は、『フレンズ』のサウンドトラックに関わることになるのだ。


 それから半世紀近く経った今、渾身の成功作「ビリー・エリオット」をエルトンに導いたジェイミー・ベルが、自身の盟友を演じたわけで、そんな背景を重ねながら観れば、『ロケットマン』の感慨は増すばかりである。




文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。



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『ロケットマン』

2019年8月23日(金)全国ロードショー 

配給:東和ピクチャーズ

(c)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.


※2019年8月記事掲載時の情報です。

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