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『ブラック・スワン』俳優とダンスの究極の関係を考えさせる

『ブラック・スワン』俳優とダンスの究極の関係を考えさせる


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一年もの特訓でトップダンサーの肉体へ



 ナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞に輝いた『ブラック・スワン』。この映画の肝は、過剰なプレッシャーと闘う主人公が、妄想や幻覚にさいなまれるドラマなので、当然のごとく演技力が試される。そうしたチャレンジにナタリーは見事に応えたわけで、栄誉がもたらされたわけだ。


 ナタリーが演じるのは、ニューヨークのバレエ団で主役を踊る役どころである。実際に『ブラック・スワン』には、ニューヨークを本拠とする名門、アメリカン・バレエ・シアターを連想させる部分がいくつも登場。つまり世界的にトップクラスのバレエ団という前提なので、そこで主役を踊る役を演じるためには、最高レベルのバレエのテクニックが試されることになる。




 ナタリー・ポートマンは少女時代にバレエを習っていた経験があり、『ブラック・スワン』よりはるか前に彼女をインタビューしたときも「いつか経験を生かして、ダンサーの役をやってみたい」と話していた。その念願がかなったわけで、役作りのためにナタリーは、1年にもおよぶクラシックバレエのトレーニングを続けたという(1日5時間という猛特訓だったとか!)。


 努力の甲斐あって、バレリーナらしい動きを披露するナタリー……と、これは『ブラック・スワン』を観た人の通常の反応だろう。しかし、バレエを観慣れている人にとっては粗が見えてしまうのは事実。一流バレエ団のトップのテクニックに到達しているはずはない。わずか一年の特訓で、これは仕方のない結果だろう。


 こうしたケースでは、アクションのスタントマン(スタント・ダブル)と同様に、プロが「ダブル」を務めるのが常識で、この『ブラック・スワン』でもナタリーのダブルで、アメリカン・バレエ・シアターのトップダンサーがサポートすることになった。どこまでがナタリー本人で、どこまでがダブルなのかは、はっきりと区別できるものではない。


 しかし、トウシューズの動きや指先、さらに「引き」で見せる舞台のカットなど、顔が出ていない部分は、ほとんどダブルの映像ではないかと思われる。ナタリーの顔が映るカットでは、明らかに肩のラインなどがプロのそれとは違っているからだ。『ブラック・スワン』における、この「どこまで代役か」は論争にも発展した。


 たとえば『マジック・マイク』のチャニング・テイタムのように、クラシックバレエでなければ、このような正確性が問われることはない。



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