2020.01.13
おバカ映画の名監督登場!
そんな渾身の脚本にプロデューサーが連れてきた監督は、ブルース・ジョエル・ルービンに大いなる不安と落胆を抱かせることになる。その監督こそジェリー・ザッカーである。
ジェリー・ザッカーは、実の兄デヴィッド・ザッカーと、友人ジム・エイブラハムの3人で結成した映画製作グループ「ZAZ」のメンバーで『フライング・ハイ』(80)や『トップ・シークレット』(84)、テレビシリーズ『フライング・コップ 知能指数0分署』(82)の共同監督として知られていた。その作風は、くだらないことをしていないカットが見当たらないほどのギャグで作品を埋め尽くすナンセンス・コメディである。
『フライング・ハイ』予告
ZAZの作品は世界中でヒットを飛ばし、『フライング・ハイ』に出演した俳優レスリー・ニールセンは本作でコメディ演技を開花させ、以降の出演作のほとんどでスカした顔でギャグを繰り出すコメディアンとして活躍することになる。
しかし、ZAZのフィルモグラフィには批評家からの高い評価を得たシチュエーション・コメディ『殺したい女』(86)もあり、ギャグ一辺倒では無いところも見せてはいた。そうは言ってもZAZと言えば大爆笑を誘うギャグ映画集団として認知されており、ブルース・ジョエル・ルービンは渾身の脚本が『ビートル・ジュース』(88)のような作品にされてしまうのではないか? と訝しんだそうだ。