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『グエムル -漢江の怪物-』にみる格差社会と、怪物の正体とは?

『グエムル -漢江の怪物-』にみる格差社会と、怪物の正体とは?

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怪物の出現によって際立つ韓国社会の問題



 さて、そんな本作が表現しているものとは、いったい何だったのだろうか。そもそも、グエムルが生まれた原因となったのは、海外の研究者が、“片付かないのが嫌”という身勝手な理由で、劇物であるホルムアルデヒドを大量に下水に流したためだった。これは、2000年に在韓米軍の人間がホルムアルデヒドを漢江に流したという、実際の事件を参考にしている。


 これは、米軍によってビキニ環礁で行われた水爆実験が引き起こした、「第五福竜丸事件」などの被ばく事件から着想を得た怪獣映画『ゴジラ』(54)の設定に近い。これによって、大国アメリカの傲慢さや、その力に支配されている自国の問題という、社会的なテーマが生まれてくる。その意味で、韓国と日本は非常に似通った社会構造を共有していることに気づかされるのだ。




 さらに本作では、韓国政府の一般市民に対する酷薄さも浮き彫りにする。カンドゥは、グエムル襲撃時に、漢江で遊んでいた韓国の人々を救うため、ひとりの勇敢な米軍兵士とともに、グエムルと戦っていた。その後、兵士は死んで英雄として称えられたが、同じように戦ったカンドゥは隔離される。そして、「娘を助けたい」と訴えても、頭がおかしい人物だとされ相手にしてもらえないのである。


 そこで立ち上がったのが、市民グループだった。彼らは差別的な隔離政策を行う政府に対し、「カンドゥを解放せよ」と主張し、デモ活動を起こす。




 デモ活動を起こした市民が、強権的な政府に殺害されるという事態に陥った光州事件が、ソン・ガンホ主演の韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(17)によって日本でも認知が広まったように、韓国では、そのような痛ましい事件を経験しつつも、市民によるデモ活動で民主化を勝ち取ってきた歴史が存在するのだ。



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