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『イコライザー』主人公ロバート・マッコールが読んでいた「見えない人間」が意味するものとは?

『イコライザー』主人公ロバート・マッコールが読んでいた「見えない人間」が意味するものとは?


読書や会話で知れるロバート・マッコールとは?



 ロバート・マッコールのキャラクターにもう1つ肉付けされたのが、読書家の側面だ。ダイナーで1人静かに読書をするのが好きな人物である。そんなマッコールが読んでいた1冊が、ラルフ・エリスン著「見えない人間」だ。1930年代のアメリカ、人種差別が横行する社会で「見えない人間」となった主人公が自身のアイデンティティと居場所を探す物語だ。「見えない人間」の主人公は、真面目で頭脳明晰、そして落ち着いており、地下室でひっそりと生活している。まるでロバート・マッコールのようである。




 元CIAというエリート街道を進める経歴がありながら、今はホームセンターの店員をしているマッコール。店で働く従業員たちが、彼の過去について賭け事を始めるほどに、マッコールは素性を語らない。マッコールは自らの過去を「ピップだった」とだけ答える。ピップとは、50年代から活躍するR&Bグループ「グラディス・ナイト&ザ・ピップス」の「ザ・ピップス」の1人称。グラディス・ナイトという圧倒的な歌唱力を誇るボーカルを支えたのが、「ザ・ピップス」の面々だ。


 ザ・ピップスは3人組で、グラディス・ナイトの兄ババ・ナイト、従兄弟のウィリアム・ゲストが固定メンバーで、もう一人のメンバーは時代によって入れ替わっている。それゆえに、余程のファンでないと、ザ・ピップス全員の顔や名前を覚えていない。素性を隠したいロバート・マッコールには格好の隠れ蓑となったいうわけだ。その話を聞いてすっかり信じ込んでしまう若者を描いているのも面白い。マッコールの世代ならザ・ピップスのダンスムーブを1つか2つ覚えているので、それを披露すればすっかり信じてしまうのである。

 



 ひっそりと静かに「見えない人間」として生きていたロバート・マッコールだが、変化は突然訪れる。人を関わることを避けていたが、馴染みのダイナーで売春婦の少女と出会い、そして巨大な悪に巻き込まれていく。その結果、19秒で世の中の悪を完全抹消する「イコライザー」として生きることを決意する。タイトル『イコライザー』とは、サッカーの同点弾を意味する言葉としても良く使われる。それからも分かるように、何かを加えることで平等にすることを意味する。


 ロバート・マッコールは、悪に徹底的な制裁を加えて、被害者の心に安らぎを与えることで、世の中を平等にしているヒーローなのだ。しかしその結末は、ラルフ・エリスンの「見えない人間」とは異なっている。本作では最後、マッコールが「見えない人間」の本を手元に置いていたが、彼はそれを読んで何を思うのだろうか?



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