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『ドラゴン・タトゥーの女』女性が男性優位社会を打ち砕く、痛快なフェミニズム的寓話

『ドラゴン・タトゥーの女』女性が男性優位社会を打ち砕く、痛快なフェミニズム的寓話

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フィンチャーが画策したルーニー・マーラの起用



 「女性が男性優位社会を打ち砕く、痛快なフェミニズム的寓話」を描くにあたって、デヴィッド・フィンチャーが最も重要視したのは、リスベット役のキャスティングだった。体中にピアスとタトゥーを入れまくったパンク・ファッションに身を包んだ、驚異的な記憶力を持つ天才ハッカー。長い間男性に虐げられてきたという設定だけに、肉体的にも脆弱であることが求められる。


 スカーレット・ヨハンソンではセクシーすぎるし、ジェニファー・ローレンスでは背が高すぎ。「身長165センチ、体型は細身で華奢、年齢は25歳くらい」を基準に、フィンチャーはリスベット探しに奔走した。キャリー・マリガン、エレン・ペイジ、ナタリー・ポートマン、ミア・ワシコウスカ、エミリー・ブラウニング、クリステン・スチュワート、アン・ハサウェイ、エヴァ・グリーン、サラ・スヌーク、エマ・ワトソン…。あまたの女優たちの名前がリストアップされたが、フィンチャーが最終的に選んだのはルーニー・マーラだった。




 『ソーシャル・ネットワーク』(10)でマーク・ザッカーバーグの恋人役を演じ、フィンチャーからは実力を高く評価されていたが、タイトル・ロールのドラゴン・タトゥーの女を演じるには、まだまだ知名度は低い。『キャロル』(15)や『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』(16)、『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』(17)といった話題作に出演し、トップ女優として認知されるのはもう少し先のこと。ネームバリューを気にするスタジオ側にとって、簡単に受け入れがたいキャスティングだった。


 フィンチャーは彼女の起用をスタジオに納得してもらうため、一計を案じる。嘔吐するまで彼女に酒を飲んでもらい、二日酔いのフラフラ状態でオーディション用のポートレートを撮ったのだ。顔色は青白く、人生に疲れ果てたかのような表情は、まさにリスベットそのもの。かくしてルーニー・マーラは、この大役を見事ゲットした。


 彼女の役に対するアプローチは激烈だった。より骨ばった体型にしようと、もともと痩せ型だったにも関わらずさらに体重を絞った。耳、眉毛、唇、乳首のピアスは全てイミテーションではなく本物。レイプされるシーンでは全身にアザができてしまうほど体当たりで演じた。デヴィッド・フィンチャーは、彼が望んだ通りのリスベットを手に入れることに成功したのだ。



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